VDI第三の選択肢は「高い、設計が難しい、コストがかさむ」を解消できるかクラウドもオンプレミスも一長一短で選べない?

セキュアなリモートワークを考える上でVDIは魅力的だが、基盤構築や設計、運用の煩雑さ、導入コストと拡張性の課題などがあり、手を出しにくかった。この問題を解消する「第三の選択肢」があるという。詳細を聞いた。

» 2024年03月21日 10時00分 公開
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 働き方改革の推進やコロナ禍での業務遂行をきっかけにテレワークが広く普及した。多様な働き方を実現したがオフィスのネットワーク外で業務PCを扱う機会が増えたため、情報漏えいなどのセキュリティリスクが高まることになった。こうしたリスクを排除する目的で、セキュアかつ少ない管理工数で従業員のデスクトップ環境を情報システム部門が一括管理するソリューションとしてVDIの導入が進んだ。

 VDIは仮想化したデスクトップ環境をサーバに集約して手元のPCに画面を転送する。従業員の手元のPCにデータを残さずに利用できるため、情報漏えいのリスクを低減できる。サーバ側で各デスクトップ環境のソフトウェアやセキュリティパッチを集中管理できるため、PC管理の負担を軽減できるというメリットもある。

 VDIはハイパーコンバージドインフラ(HCI)などを使ってオンプレミスに構築することもできるが、クラウドサービスを利用することもできる。コストやパフォーマンスを比較するとどちらにもメリット/デメリットがあるため、選択に悩む企業も多いだろう。だが、オンプレミスとクラウドの“いいとこどり”が可能な第三の選択肢があることをご存じだろうか。

オンプレもクラウドも一長一短のVDI

日立システムズ 新井譲司氏 日立システムズ 新井譲司氏

 日立システムズの新井譲司氏(産業・流通デジタライゼーション事業部 第一デジタライゼーション本部 第二システム部 第一グループ 技師、部署名・役職は取材時)は、オンプレミスのVDIのメリット/デメリットを以下のように語る。

 「オンプレミスのVDIは、スペックや構成を自由に決定して従業員の高度な要求に応えられる柔軟性の高さがメリットです。しかし、ハードウェアを購入してVDIを構築するための初期コストが大きく、リプレース時は新旧環境のコストもかかるというデメリットがあります。3Tier構成の場合は拡張性に乏しく、サイジングやストレージの性能設計の難しさが目立ちました」

 3Tier構成は物理サーバ、SAN(Storage Area Network)、共有ストレージそれぞれのキャパシティーを計算する必要があるため、設計や拡張時のサイジングに膨大な工数がかかる。ハードウェア調達の計画や予算取りを含めると、必要なときにすぐリソースを確保することが難しく、拡張性に欠けるという問題もある。

 初期コストを下げたい企業はクラウド型のVDIを選ぶ傾向がある。導入時にハードウェアを用意する必要がなくハードウェアリプレース費用もかからないため、コストが急に膨らむこともない。しかし、クラウドならではのデメリットもある。

 「他社とリソースを共有するクラウドの場合、独立性を確保できないことがあります。セキュリティやバックアップの仕組みもクラウドの要件に沿った形で構築する必要があり、自社のニーズやポリシーに適合しないケースも多いでしょう」(新井氏)

 コスト面にも問題がある。

 「クラウドは、オンプレミスと違ってデータの移動にコストがかかるといった、見えにくい出費があります。海外ベンダーのクラウドの場合、利用料金が為替変動の影響を受けてしまい、予算の見通しを立てにくいといった懸念もあります」(新井氏)

“いいとこどり”のVDI 高性能なHCIを月額利用

 オンプレミスとクラウド両方のメリットを享受できるVDIは存在するのか。新井氏は、日立システムズが提供する「仮想デスクトップ基盤月額提供サービス」を提案する。

 「仮想デスクトップ基盤月額提供サービスは、お客さまのサーバルームやデータセンターにオンプレミスのVDIを設置して月額料金で利用できるサービスです。初期費用やハードウェアのリプレース費用は発生しません。すでに稼働している業務サーバと同じ場所にVDIを設置できるため、トラブル時の切り分けなどが比較的容易です」(新井氏)

オンプレミスとクラウドのメリットを両方実現(出典:日立システムズの提供資料) オンプレミスとクラウドのメリットを両方実現(出典:日立システムズの提供資料)

 同サービスは、オンプレミス、クラウドを問わずクラウド技術のメリットを享受できるHPEのプラットフォーム「HPE GreenLake」(以下、GreenLake)を基に構成されている。新井氏は「ハイブリッドクラウドに対応したGreenLakeを活用することで、スモールスタート可能なVDIが実現しました」と語る。

 日立システムズは、同サービスの基盤としてHPEのHCI「HPE SimpliVity」(以下、SimpliVity)を採用している。HCIは物理サーバとイーサネット用のL2スイッチのみのシンプルな構成のため3Tier構成よりも拡張性が高く、ユーザーの増加に合わせて柔軟にサイジングできる。SimpliVityは可用性が高く、ストレージ効率化や高速バックアップといったVDI運用に欠かせない機能も標準で備えている。

VDIに必須の機能を備えるHPEのHCI(出典:日立システムズの提供資料) VDIに必須の機能を備えるHPEのHCI(出典:日立システムズの提供資料)

 日立システムズの保泉康隆氏(DXプラットフォームサービス営業統括本部 第一パートナー営業本部 第一営業部 第二グループ主任)はストレージ効率化について以下のように語る。

日立システムズ 保泉康隆氏 日立システムズ 保泉康隆氏

 「VDIをフルクローン方式で展開するとストレージ容量がどうしても大きくなってしまいます。しかし、SimpliVityのストレージは独自技術によってフルクローン方式でもストレージI/Oの速度低下を招くことなく重複排除を実現し、ストレージ容量を抑制できます。過去の実績ではVDIフルクローン方式で63〜88%のデータ削減効果を発揮しました」

 SimpliVityはデータ保護として仮想化基盤のディスクをRAIDにより保護、さらには仮想マシンのミラーリングとバックアップを使い、データを三重に保護する。バックアップにおいても一般的なバックアップソリューション以上の高速性を標準で発揮し、VDIを丸ごとバックアップ可能だ。

 「サーバのバックアップは取れていてもPCのバックアップは正しく取れていないという企業は多く存在します。しかし、PCのバックアップのためにわざわざ投資するのは難しいといった意見も聞きます。仮想デスクトップ基盤月額提供サービスは、短時間でバックアップを取って有事の際は最短で10分前の状態にリストアするといった運用が可能です。例えばランサムウェアに感染してしまっても、バックアップを使ってほぼ最新の状態にPCを戻せます」(保泉氏)

 SimpliVityは拡張性に優れており、ノード単位でシンプルかつスピーディーにリソースを増強できる。1ノードに最大100〜150のVDIを搭載でき、必要なスペックに合わせてVM数を調整するのも、リソースを拡張するのも容易だ。高性能なGPUを搭載したノードも利用できるので、CADなどの画像処理負荷が高い業務でも活躍する。

総合サポートで最適なPC運用へ

 日立システムズはHPE SimpliVityをベースとしたVDIの導入に当たり、要件のヒアリングから設計・構築・操作説明までサポートする。ハードウェアや仮想化基盤ソフトウェアに関するサポート窓口を一元化しているため、トラブル時の問題の切り分けを迅速にできる。VDIのマスター設計や導入後の運用設計の支援も可能だ。

 「当社はVDI稼働後に利用できるクラウド型の監視サービス『App Bridge Notification 通知サービス』なども用意しています。本サービスは、検知したシステムメッセージを電子メールや電話、『Microsoft Teams』『Slack』など、お客さまの環境や運用に合わせて自動通知します。VDIだけでなく、既存のオンプレミスサーバやクラウドの監視を統合することも可能です。監視サーバの構築が不要なので、特にスモールスタートの際に組み合わせていただくと効果的です」(保泉氏)

 App Bridge Notification通知サービスは通知先を指定できる他、メッセージ内容や時刻、通知元のサーバ、カレンダーの内容を基にした振り分けも可能だ。

ユーザーに合わせた通知設定が可能 ユーザーに合わせた通知設定が可能(出典:日立システムズの提供資料)

 日立システムズは多様な環境を複合的にサポートする総合力に優れており、上述のようなアセスメントから運用・展開支援、デスクトップと連携する業務システムの導入、クラウド環境の整備まで、幅広いサービスとサポートを提供している。VDIだけでなく、既存システムとの親和性を含めた総合的な支援が期待できるため、更改の精度・品質を高めることができる。

 VDIを検討したくてもクラウドファーストでシステムを導入することが求められており、本当に自社のニーズに適しているかどうかを判断しにくい状況にあるかもしれない。

 「これまでのVDIは、オンプレミスかクラウドサービスかの2択しかなく、自社のニーズにぴったりマッチしなかったかもしれません。日立システムズの仮想デスクトップ基盤月額提供サービスであれば、オンプレミスのメリットとクラウドのメリットを享受でき、自社に最適な環境が実現する有力な第三の選択肢になることが期待できます」(保泉氏)

 自社のニーズにはオンプレミスシステムが望ましいと判断しても、一般的なハードウェア基盤はスモールスタートが難しく、初期投資が大きくなってしまうという課題を解決できない企業もあるはずだ。新井氏は、初期費用なくVDIを開始できることの魅力を強調した。

 「スモールスタートできるため、特定部門向けの小規模な環境にも適用しやすいのが特徴です。100台導入してみて、効果があるなら200台、300台と比較的簡単に増設可能です。『Windows 10』のサポート終了が2025年10月に迫り、既存のデスクトップ環境の移行先に悩む方は、『Windows 11』への移行に合わせてぜひ積極的に検討していただきたいと思います」(新井氏)

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