「対面から非対面」といったコミュニケーション形態の変化や生産性向上のニーズを背景に、PCの選定基準を見直す必要が出てきている。専門家が、トレンドを踏まえてPC選定のポイントを解説する。
従業員コミュニケーションの多くを対面ではなくPCを通じてするようになった今、PCの使い方も大きく変化した。人手不足が深刻化する中で、ITの力を借りて一人一人の生産性を向上させることが求められている。こうした状況で、PCの選定基準も見直す必要がある。
「働き方が変わればPCに求められる性能や機能も変わります。そうなるとIT予算の配分も変えなければなりません。ですが、PCへの投資についてそこまで深く考えている企業は少ないのではないでしょうか」
こう切り出したのは、日本マイクロソフトの仲西和彦氏(デバイスパートナーセールス事業本部 マーケティング本部 Commercial Windows戦略部長)だ。
業務効率や生産性の向上の文脈でも日常業務を支えるPCへの投資をないがしろにはできない。創業60年を超えるIT商社のTD SYNNEXの山之上 満久氏(エンドポイントソリューション部門 エンドポイントプロダクト本部 本部長)は、これからのPC選びのポイントを次のように語る。
「『Microsoft Teams』(以下、Teams)の会議中にOfficeアプリの資料を共同編集するといったように、同時に複数の作業をするシーンが日常となりました。業務の効率化や生産性の向上が叫ばれる今、マルチタスクに十分に耐えられるかどうかはPC選定の重要なポイントの一つです。コスト高の流れでPCの消費電力を気にする企業も増えていることから、高性能かつ低消費電力モデルのニーズも高まっています」
セキュリティ性能も引き続き重要なポイントだ。近年のサイバー犯罪の被害例を見ると、機器の脆弱(ぜいじゃく)性を突かれて社内のネットワークセキュリティを突破され、被害に遭うケースが増えている。エンドポイントのセキュリティ強化がますます重要になっている。
業務環境の変化に伴う課題について、プロセッサメーカーはどのように捉えているのだろうか。日本AMDの峰岸博英氏(コマーシャル営業本部 パートナービジネス推進室長)は、次のように語る。
「人の努力だけで課題を解決するのは限界があります。今後は、テクノロジーに頼りながらどうやってセキュアな環境でパフォーマンスを高めるかという視点でPCを選ぶ必要があります。『AMD Ryzen PROプロセッサ』は『Windows 11』環境の作業をチップレベルでサポートし、ユーザーに高い価値を提供します」
AMD Ryzen PROプロセッサはノートPCに搭載可能な最大コア数を提供する。その中でも、最先端のセキュリティ機能と高い性能を提供するエンタープライズPC向けのプロセッサが「AMD Ryzen PRO 7040 シリーズ プロセッサ」だ。その特徴はパフォーマンスの高さにある。AMD Ryzen 7 PRO 7840Uプロセッサは8個のハイパフォーマンスコアを使用し、Windows 11 Proと組み合わせることでビデオ会議やオフィスアプリケーションを軽快に動作させる。
低消費電力にも強みがある。Teamsのビデオ会議時のバッテリー持続時間は6時間48分で、1日の会議をこなすには十分なバッテリー性能だ。このバッテリー駆動時間を実現できる理由は製造プロセスにある。AMDは現在、半導体受託メーカーの大手、TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)に製造を委託している。TSMCが培ってきた高い微細化技術がAMD Ryzen PRO 7040シリーズ プロセッサにも生かされている。
AMD Ryzen PRO 7040シリーズ プロセッサには、AMDとMicrosoftが共同開発したセキュリティプロセッサ「Microsoft Pluton」が統合されている。Windows Updateと連動してセキュリティプロセッサもアップデートされることで高いセキュリティを確保している。さらに「AMDメモリー・ガード」がメモリのデータを暗号化することで、紛失や外部からの攻撃によるデータの漏えいと消失を防ぐ。
AMD Ryzen PRO 7040 シリーズ プロセッサは、「AMD Ryzen AI」が搭載されていることも特徴だ。
「2023年からHPのワークステーションやLenovoのノートPCにAMD Ryzen AIを搭載しています。AMD Ryzen AIとMicrosoftのAI(人工知能)アシスタント機能である『Microsoft Copilot』と連携させるための開発も進んでいます。今後の展開にご期待ください」(峰岸氏)
日本マイクロソフトの仲西氏は、「企業がPCを見直す上で注目していただきたいことは3つあります」と語る。
1つ目はAIだ。Microsoftは2023年に「Copilot for Microsoft 365」や「Copilot Pro」などのサービスから成るMicrosoft Copilotをリリースした。Microsoft CopilotはOpenAIの大規模言語モデルを使用した生成AIとして企業の生産性向上、業務効率化に寄与すると期待を集めている。
Microsoftは、既にWindows 11にAIを利用したフィッシング詐欺防止機能「SmartScreen」などのセキュリティ機能を付加している。OSに搭載された対話型のAIアシスタント機能「Copilot in Windows」も利用可能だ。今後もMicrosoft Copilotはさまざまな領域に拡大し、大きな技術要素になるだろう。
2つ目はNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)だ。NPUは機械学習用に専用設計されたチップで、GPUと同じく大量計算の並列処理に特化している。GPUよりも効率的に処理を実行できる。
AMD Ryzen 7 PRO 7840UプロセッサもAMD Ryzen AIのNPUを搭載している。背景ぼかしや雑音除去などのエフェクトをOSレベルで統合した「Windows Studio Effects」を利用できるので、Teams会議がより快適になる。AMD Ryzen 7シリーズのようにNPUを搭載した製品群が続々と登場しているので、NPU搭載の有無はPC選定の判断基準になるだろう。
3つ目がセキュリティ性能だ。Microsoftは、機密性の高いデータを取り扱うPCに対する保護要件「Secured-Core PC」を提唱している。この要件に従ってTPMやCPU、ファームウェアといったOSの下層にセキュリティ保護機能を追加したPCは、不正アクセスやデータの改ざんなどを防御できるとしている。AMD Ryzenの最新型はSecured-Core PCに対応しているので、選択肢の一つとして挙げられる。
AMD Ryzen/Ryzen PROプロセッサおよびWindows 11 PCの価値は、低消費電力や生産性向上、セキュリティ、AIなど多くのメリットを低コストで享受できる点にある。セキュリティやハイブリッドワーク、AIの対応を考慮してどのようにPCを見直せばよいかという問いに対して、AMD Ryzen/Ryzen PROプロセッサ搭載PCへの移行とWindows 11への乗り換えは一つの解と言える。
なお、PCのリプレース時は機器の調達から処分までに必要な運用を含めて計画を立てることが重要だ。TD SYNNEXの山之上氏は、ソリューションアグリゲーターの視点から次のように語る。
「当社はPCを提供するだけでなく、PCライフサイクルマネジメントをサポートするIT-LCMサービスを提供しています。IT商材の導入や展開、運用、PCの処分までワンストップでサポートするものです。LCMの中でも、『Windows Autopilot』を使った導入支援サービスや、PC廃棄時のコストと情報漏えいリスクを同時解決できる『PCリユースリサイクルサービス』で多くのお問い合わせをいただいています。IT機器をサブスクリプション(月額課金)で提供するDaaS(Device as a Subscription)も提供しています」
働き方の変化や生産性向上のニーズを背景にPCの見直しをしたい企業にとって、多様なサービスを提供するTD SYNNEXは心強い味方となるだろう。PC選定に迷ったら、一度TD SYNNEXに相談してはどうだろうか。
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