中堅・中小企業にこそ恩恵 工数削減から生成AIまで、クラウド活用の現実解柔軟で無駄のないデジタル活用

大企業を中心にデジタル化、AI活用などが急速に進む中、中堅・中小企業は人材や知見、資金面など多くの課題に直面し、その一歩を踏み出しづらいのが実情だ。本稿ではそうした課題を解決する柔軟で無駄のないデジタル活用の秘訣(ひけつ)を紹介する。

» 2024年03月25日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]

 労働人口の減少や物価上昇、自然災害など、企業の経営活動を取り巻く環境は昨今ますます厳しくなっている。この苦境を乗り越えて成長を続けるために、大企業を中心にデジタル化、AI活用などデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいる。一方、中堅・中小企業(以下、SMB)においては「何から始めたらよいか分からない」「自社の規模では難しい」「新たな取り組みに避けるリソースがない」などの理由から足踏み状態となっているケースも少なくない。「DXの重要性は理解しつつも緊急性に欠ける」というのが多くのSMBの共通認識だろう。

SMBでも大企業と同レベルのインフラを使うことはできる

 しかし、一歩を踏み出さない限り大企業とSMBの差は開く一方だ。資本力や人的リソースで劣るからといって、そこで諦める必要はない。DXで先行する大企業はその前提としてクラウドシフトを推進しているが、これはSMBでも実現可能である。さらに言えば、大企業が利用するITインフラと同等のシステムを小ロットかつ従量課金で使用でき、運用・管理のコストを削減しつつ安定運用を実現できるというクラウドの恩恵は、SMBこそ享受しやすいものである。

日本マイクロソフトの上條孝二アイザック氏(Azureビジネス本部 Asia SMC Infra GTM マネージャー)

 AI活用についても同様だ。これまでのAIは膨大な自社データを有し、先行投資が可能な大企業だけのものだったが、ChatGPTをはじめとする生成AI技術の出現により、社内に専門人材が乏しいSMBでも即時導入ができる状態までAIの民主化が進んでいる。リソース不足を理由に“後回し”にせざるを得なかったSMBのDXは、ようやく現実的な選択肢になってきたのだ。

 「MicrosoftはChatGPTをはじめOpenAI社のAIモデルをMicrosoft Azure(以下、Azure)上のセキュアな環境で利用できる商用サービス『Azure OpenAI Service』を提供しています。使いたいと思ったら即座に、かつ従量課金で生成AIの利用を開始できる環境が整っています」と話すのは、日本マイクロソフトの上條孝二アイザック氏だ。

現状維持は悪手

 今日、ITインフラの姿は多様化している。自社管理のオンプレミス環境もあれば、データセンターやホスティングサービスを利用する場合もある。複数のクラウドベンダーのサービスを組み合わせていることさえ珍しくない。アプリケーションの動作環境にしても、仮想環境もあればコンテナもある。システム管理者はこうした複雑な環境の中で、セキュリティやガバナンスを一定レベルに保つという非常に複雑な運用が求められるようになっている。限られた人数の中でこうした要求に応えなければならないSMBにとっては、これらの課題は特に深刻だ。

 ここでも、クラウド活用が解決策となる。複合的なインフラ環境を前提にしつつ、管理は一元的、効率的に行いたいという一種相反する要望に応えるのが、Microsoftの「Windows Admin Center」や「Azure Arc」をはじめとしたサービス・製品だ。これらを活用することでインフラの統合運用、セキュリティ管理の一元化を実現することができる。さらには、Azureに備わっているアドバイザーを利用することで、オンプレミスのサーバ管理ツールやIT資産管理ツールでは見えなかったセキュリティスコア、コストスコア、可用性スコアなども容易に知ることが可能になった。

 「デジタル化やAI活用など『攻め』のDXにリソースを傾斜するためには、『守り』の側面でのクラウド活用もおすすめしたい」と上條氏は訴える。

 リソース不足、コスト懸念を言い訳としたオンプレミス運用という「現状維持」の意思決定は、コストの高止まり、会社の中長期的な成長機会をみすみす逸することにつながってしまう。0か100かの議論ではなく、各社の課題感、リソース状況などを鑑みて適切なクラウドシフトを実現すべく一歩を踏み出す必要がある。

なぜSMBではIaaSやPaaSの利用が進まなかったのか

 もちろん、SMBがこれまでクラウドと無縁だったわけではない。上條氏も「『Microsoft 365』をはじめとしたSaaSの利用は着実に増えていますし、ある程度汎用的な業務システムの移行先として、SaaSというのは有効な手段です」と話す。

 一方で、基幹系などカスタマイズなしでSaaSに上げることが難しいもの、AI活用やDXのような企業競争力向上を図っていく領域については、自社でリソースを管理、拡張するIaaS/PaaSの形式での利用が必要となる。

 大企業に比べてSMBは相対的にIaaS/PaaSの利用が進んでいない。上條氏はこの理由として「IaaSやPaaSの領域となると、SMBではクラウドシフトを実行できるだけの知識やノウハウを持った人材が足りていません。IT予算もSMBは既存業務に直結するものが最優先ですから、不確実性の高い新たな投資に回す予算は限られてしまいます」と語る。

 経営資源の不足に加え、IT資産管理の観点でも課題がある。SMBの場合、必要に応じてさまざまなシステムを継ぎ足すように導入するケースが多く、個々のシステムは導入の経緯も担当者も異なる可能性が高い。結果として、利用頻度が少なく重要度も低いのに継続稼働しているシステムが放置されることになる。

 「それらを棚卸しするためにも、時間や人材が必要です。その他、システムの複雑化やデータのサイロ化、セキュリティ管理が十分でない、身近に相談できるITパートナーやSIerがないなど、SMBのIT担当者はさまざまな課題に悩まされています」

 そうした中でも自社でクラウドを活用しているSMBは着実に増加してきている。それは素晴らしいことだが、自社内のリソースだけで一からノウハウを積み重ねていくのは時間がかかるし、確実な効果創出につなげるのは簡単ではない。上條氏は「クラウド開発に知見を有したパートナー企業のような専門家の力を借りるのが現実的かつ得策です。特に最初の移行プロジェクトなどは、その後のクラウド活用の礎となるため、自社の課題感、業界レギュレーションなどを踏まえて適切に設計をし、その基盤を踏まえて順次追加のプロジェクトを推進していくことが良いでしょう」と指摘する。

3つのフェーズ別にSMBの課題解決を支援

 日本マイクロソフトは、パートナー企業と協力してクラウドシフトやクラウド活用に挑戦するSMBを後押しするための手厚い支援を提供している。特にクラウドシフトにおいては「計画・検討」「検証・PoC」「移行・実装」の3つのフェーズでAzureに関連する複数の支援プログラムを用意している。代表的な支援プログラムには以下の4つがある。

  • Azure Migrate & Modernize(以下、AMM):Azureへの移行を支援
  • Azure Innovate:データ分析とAI導入を支援
  • ソリューションアセスメント:IT資産の現状把握・棚卸しを支援
  • FastTrack for Azure:Azureエンジニアによる設計指針の提供・プロジェクトの共同推進

 AMMは、既存のアプリケーションやデータ、インフラをAzureに移行するプロジェクトにかかる費用の一部を日本マイクロソフトがパートナー経由で援助するプログラムだ。

 Azure InnovateはAzureで新規サービスをクラウドネイティブに開発・構築してビジネスの次の成長を促進させることに対する援助プログラムだ。AMMが既存アプリケーションの移行を主に対象としているのに対し、Azure Innovateは成長につながる新しい取り組みを対象とする。

 ソリューションアセスメントは、自社のIT資産の棚卸し、クラウドに移行した際のコスト計算など、具体的なクラウド移行戦略を検討する前の現状把握のニーズに応えたサービスで、申し込み要件に合致すれば現在無料で利用できる。

 FastTrack for Azureはアーキテクチャの設計や具体的な実装方法などをベストプラクティスとして提供し、エンドユーザーのクラウド活用を支援する。

 Azure支援策の中には大企業向けのプログラムもあるが、上記4つはSMB企業も念頭に設計をしているところがあり、クラウドシフトで課題を抱えるSMBこそ利用する価値があるものだ。

 「人的リソース、予算獲得とコスト負担、知識とノウハウの不足、システムや技術面で生じるさまざまな課題をこれらの支援プログラムでサポートします」(上條氏)

Microsoft Azure支援プログラム(出典:日本マイクロソフト提供資料)

Microsoftならではの特典でクラウドシフトをよりお得に

 Azure自体の強みもある。パブリッククラウドには幾つかの選択肢があるが、オンプレミスで「Windows」や「Office」を提供しているMicrosoftならではの特典も多い。

 その一つが「Azure ハイブリッド特典」(AHB:Azure Hybrid Benefit)だ。AHBはAzureで実行する「Windows Server」や「SQL Server」において、オンプレミスで利用していた既存のライセンスを活用して割引特典が得られる。

 「オンプレミスで利用していた既存のライセンスを持ち込んでいただくことで、Azureの利用料からライセンス分を削減することが可能です。リザーブドインスタンス(複数年の利用予約)と併用することで7割近くコストを抑えてAzureをご利用いただくことが可能です」

 ハイブリッドクラウドの管理を簡素化できるソリューションが前出のAzure Arcだ。クラウドシフトといっても現実的には一気に移行することは簡単ではなく、クラウドに移行したシステムとオンプレミスに残るシステムが併存するのが一般的だ。これらの管理体系が異なると、管理や手間も二重になり、運用管理コストが膨れることになる。上條氏は「Azure Arcはオンプレミスとクラウドをあたかも単一のクラウドであるかのように管理できる機能です。これによってハイブリッドクラウドのガバナンスやリスク管理、セキュリティ管理を統合します」と述べる。

Azure Arcを活用したハイブリッドクラウド管理のイメージ(出典:日本マイクロソフト提供資料)

 SMBにはこの他、無料の学習プログラム「Microsoft Learn」もお薦めだ。Azureに関する幅広い学習プログラムを通して、何から始めればいいか分からないという悩みを持つ担当者に統合的な学習環境を提供する。

 日本マイクロソフトのパートナーエコシステムもSMBを支援する上での大きな強みだ。それぞれ得意領域を持った多彩なパートナーがエコシステムを通して顧客を支援する。

 「自社に合ったパートナーを見つけて課題に沿った支援サービスやソリューション提供を受けることで、より良いクラウドシフトやクラウド活用が可能です」

 以下では、SMB向けに特色のあるソリューションを持つパートナー4社を紹介する。パートナーのサービスやソリューションを活用して、クラウド活用を本格化させてほしい。

ビジネス成長の基盤、クラウドで築こう!(JBCC)

 コスト30%削減を最優先課題としたクラウド移行をご支援!独自のコンサルテーションサービスを「無償」で提供し、利用検討フェーズから運用フェーズまで、マルチ・ハイブリッドクラウド環境の最適化を実現します。また、今後の企業のビジネス成長の鍵となる「データ活用」を最大化するための最適なクラウド環境をご提案します。


エンジニアリングDXは、CAD on AVDで一気に加速します!(大塚商会)

 大塚商会はAzureベースの3DCAD運用基盤としてCAD on AVDサービスを提供しています。GPUインスタンスを使用して3DCADを活用し、お客さまのデジタルエクスペリエンス(DX)を推進します。


AZPowerはMicrosoft CloudのAからZをご提供するクラウド専門インテグレーターです(AZPower)

 「自社専用のChatGPT」「情報が外部に漏れないセキュアなChatGPT」をコンセプトとしたChatGPTインテグレーションサービス「PowerGenAI」。中でも「PGAI Chat」として提供するChatスタートパックはAzure OpenAI Serviceを利用した貴社専用の生成AI Chatアプリをスピード導入できるパッケージ。セキュリティ、今後の拡張性をしっかりと担保したムダのないパッケージです。


確かな技術力で一歩先のクラウドAI・IoTを実現(東京エレクトロンデバイス)

 「Try it! Azure OpenAI Service EXPRESS」は、社内にある情報とAzure OpenAI Serviceを連携する方法を学び、専用にご用意するAzure環境でお試しいただけるサービスです。自社で環境を用意することなく、すぐにPoCの実施が可能です。


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