従業員のコンプライアンス向上を「すぐに」「低コスト」で実現7県で100店舗超を運営する老舗企業、システム乱立抑止への挑戦

多数の店舗や拠点を抱える企業にとって、迅速な情報共有や昨今厳しさを増すコンプライアンスの向上施策は喫緊の課題となっている。ローコードツールであるkintoneとグループウェアのGaroonの導入で問題を解決しつつ、今後のIT戦略の中核に両ツールを据えるスーパーマーケットチェーンの事例を紹介する。

» 2024年04月10日 10時00分 公開
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 多数の店舗や拠点を抱える企業にとって、ITツールの扱いが苦手な従業員もいる中で情報をいかに迅速に共有するかは重要な課題だ。また、企業にコンプライアンスを求める動きが強まる中、従業員の意識を向上させて適切な行動を習慣化させることも最重要課題の一つといえる。

 多くの企業が試行錯誤を続ける中、7県で100店舗超のスーパーマーケットを運営するハローズは、サイボウズのローコードツールである「kintone」とグループウェア「Garoon」を活用してこれらの課題を迅速かつ低コストで解決した。

 同社がコンプライアンス向上やコミュニケーションの円滑化を実現し、ITが苦手な従業員にもデジタル処理を浸透させた“成功のヒント”を探る。

「独自の物流網で効率運営」が強みのハローズ

photo ハローズの花岡秀典氏

 ハローズは瀬戸内海沿岸地域でスーパーマーケットチェーンを運営している。創業は1958年で、本部がある岡山県を中心に広島県、兵庫県、香川県、徳島県、愛媛県、山口県に計106店舗を展開する。

 同社の特徴は、自前の物流システムを構築することで全店舗の24時間営業を可能にしている点だ。ハローズの花岡秀典氏(専務取締役管理本部長 兼 BCP担当)は、自社で物流網を持つことの強みを次のように説明する。

 「独自の物流センターを持ち、物流と販売を一括管理することで、店舗の滞留在庫の発生を低減して効率的に運営できるため、商品価格を抑えられます」

システムの乱立を防ぐために kintoneのさらなる活用を図る方針が決定

 ハローズはkintoneを稟議(りんぎ)のワークフローシステムとして利用してきた。

 「店舗で使う機材の購入などで、月間450件以上の稟議書が提出されています。総務部は現場から送られてくる稟議書を印刷し、承認者に押印してもらい、最終的にファイルに保存するという作業に追われていました。kintoneの導入で、ペーパーレス化とはんこレス化が実現しました」(花岡氏)

 この実績に満足したハローズは、システム乱立を防ごうとkintoneのさらなる活用を目指すことにした。

 「当社ではこれまで、各部署がそれぞれの課題に応じて独自にツールを導入してきたためシステムが乱立していました。これらをkintoneやGaroonに置き換えることでシステムの活用度も高まり、コスト削減と効率改善につながると考えました」(花岡氏)

kintoneでコンプライアンス向上 新システム導入コストを回避

 まずはkintoneの活用範囲の拡大を中心に紹介しよう。中でもユニークなのがコンプライアンス向上への取り組みだ。ハローズではkintoneで開発した「運転日報」アプリが2023年12月から稼働している。社用車を運転する人のアルコールチェック結果を管理するアプリだ。

 2021年の道路交通法改正によって、企業の各事業所で「安全運転管理者」を選任すること、運転者の酒気帯びの有無を確認し、その記録を1年間保管することが義務付けられ、2022年4月から施行されている。

 ハローズは当初、アルコールチェック管理サービスの導入を検討していた。しかし、ID当たりの月額利用料に約1000円かかる同サービスは「当社にとっては高コストだ」と判断して見送ることになった。

 同サービスの採用を見送った理由には、kintoneで同じようなアプリを開発できるのではないかという考えもあった。同社のkintoneとGaroonの導入を支援した富士通Japanに相談したところ、2週間余りでアプリが完成した。

 社用車を使う従業員は、まずkintoneで車両を予約する。運転開始時に事前に配布されたアルコール検知器に息を吹き掛け、出力された数値と自身の顔写真をアプリに登録して申請するという仕組みだ。登録した情報は1年間保管する。検査結果の記録から申請と承認、記録保管までの一連のプロセスをkintoneのアプリで実現した。

 「当社が管理している車両は多いので、運転者ごとに記録を抽出できるのが特に便利ですね」(花岡氏)

photo 図1 アルコール検知器の結果をkintoneで管理(出典:ハローズの提供画像)

 「専用システムとほぼ同じ機能を持つアプリを実装できました。コスト削減と同時に不用意にシステムを増やさないという方針にも沿っています。この成功で、従業員のコンプライアンス関連タスクの状況把握や透明性の向上といった状態管理にkintoneが使えると分かり、他の業務にも適用できないかと検討を始めました」(花岡氏)

 従業員にコンプライアンス意識を浸透させる施策でもkintoneを活用することになった。同社の人事教育部は、全従業員が提出する誓約書の管理と内容理解のモニタリングを担当している。誓約書に関する通達にはGaroonを、kintoneは誓約書の管理や内容の浸透に利用している。

 「従業員には『コンプライアンス手帳』を配布しています。内容の浸透を図るため、手帳をきちんと読んだかどうか、行動に移せたかどうかを上長と従業員が共に確認するアプリを作っています」(花岡氏)

「情報を必要な人に確実に届ける」 Garoonの活用範囲の拡大

photo ハローズの山上智喜氏

 kintoneと同様に活用を進めているGaroonはもともと、グループウェア更新の移行先として選んだものだった。IT構築と運用を担う管理本部 IT戦略部の山上智喜氏は、Garoonとの出会いについて次のように振り返る。「長年にわたって社内の情報共有基盤として使ってきたグループウェアのサポート終了が決まり、終了期限までに次のグループウェアを選定し、運用を始めることがミッションになったのです」

 複数挙がった候補の中からGaroonを利用することが決まった。ハローズではそれまで、各従業員が個別にカレンダーツールを利用していたが、Garoonの導入によって経営陣やマネージャー層が全体のスケジュールを把握できるようになった。社用車や書類の社外持ち出し申請管理のような内部統制もGaroonで実現している。

photo 図2 Garoonでスケジュール共有がスムーズに(出典:ハローズの提供画像)

 Garoonの利用が定着したハローズは、さらなる活用に乗り出すことにした。Garoonの利用状況を分析する「Garoonログ解析レポート」によって、メッセージ機能の利用が特に多いことが分かったため、情報発信の在り方を見直すことにした。全社向けの通知や従業員同士のやりとりがメッセージ機能で発信されていたため、「自分に必要な情報を見逃してしまう」という意見があったのだ。

 ハローズでは本部だけでなく、店舗で各部門のリーダーを務める従業員にもGaroonのアカウントを配布しており、ITスキルにはバラつきがある。情報を該当者に確実に届けるための発信方法を考える必要性が浮き彫りになった。

 そこでIT戦略部はメッセージ機能からポータルや掲示板の移行を進めた。「対象部署別にコンテンツを構成し、掲示板に情報を集約することで効果的に情報を届けられるようになりました」(山上氏)

現場の声を聞いてさらに改善を進める

 こうしてハローズはコンプライアンス向上やコミュニケーションの円滑化にkintoneとGaroonを活用することで課題を解消した。

 今後同社は店舗網をさらに充実させ、瀬戸内商圏に180店舗を展開して売り上げ3000億円を達成するという長期ビジョンを描く。その実現に向け、社内のコミュニケーション活性化やデータ活用に取り組む予定だ。この中でkintoneとGaroonをこれからどのように利用するのだろうか。

 ハローズの店舗では各部門が目標を掲げ、実現状況を本部がチェックする管理手法を実践している。

 「現在は106ある店舗全ての進捗(しんちょく)を1枚のスプレッドシートで管理しています。本部がこのシートを基に各店舗や部門に出す指示が本当に現場の状況に合っているのかどうかは疑問で、本部と現場間のコミュニケーションには課題があると感じています。現場の声を生かした標準化にkintoneが使えないか、可能性を感じています」(花岡氏)

 ハローズはデータの一元化も図っている。新たに別のシステムを導入するとさらにコストがかかるため、将来的にはなるべくkintoneにまとめていきたいという考えだ。

 「データをただ置いておくだけでなく、これからはデータの価値を生かしたいと考えています。そのためにはkintoneの活用を突き詰めていきたい」(山上氏)

 今後は目標の進捗管理にはkintoneを、コミュニケーション改善にはGaroonをさらに活用するなど、中長期的なIT戦略を支える位置付けとして考えているという。

 最後に花岡氏は、kintoneとGaroonの導入を検討している企業に次のようなメッセージを送った。

 「kintoneは専門ツールと同じような機能を持つアプリを作成できる場合もあり、新しいシステムを導入する必要なく、システムの乱立を防ぐことができます。さまざまなシステムとの連携手段が用意されているkintoneは、システムを迅速に低コストで実装したい企業に薦められると考えています。また、Garoonは情報共有をはじめとするコミュニケーションに課題がある企業に向いていると思います」

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