ソーシャルメディアやダークネットの監視・分析分野で大きな存在感を発揮するセキュリティ専門集団のテリロジーワークスは、2024年6月1日に「コンステラ セキュリティ ジャパン」へと社名を変更した。同社の沿革と社名変更に込めた思いとは。
ネットワークやセキュリティ関連のソリューションサービスを展開し、産業や社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するテリロジーグループ。その一員としてサイバーセキュリティを中心とする専門性の高いサービスを提供しているのがコンステラ セキュリティ ジャパンだ。
同社は2024年6月1日に社名をテリロジーワークスからコンステラ セキュリティ ジャパンに変更し、新たなスタートを切った。同社社長の宮村信男氏と松浦洋一氏(取締役 THXビジネス部 部長)に、これまでの歩みと社名変更の目的、今後のビジョンを聞いた。
2017年の設立以来、コンステラ セキュリティ ジャパンの事業領域は大きく変化した。当初はネットワーク関連ソリューションのソフトウェア製品開発を手掛ける会社だったが、サイバーセキュリティのニーズの高まりを受けて脅威情報サービスの提供を開始。以来、同社はダークネットモニタリングをはじめとするサイバーセキュリティ領域に注力し、防衛省および警察庁といった官公庁や民間企業などの顧客との関係を築いてきた。
コロナ禍真っただ中の2020年ごろ、SNSで偽情報が全世界に拡散されたことを受け、SNSで拡散される潜在的な脅威を特定して分析し、軽減するためのマネージドサービスを開始した。主に官公庁からの依頼が多く、SNS脅威情報関連の案件が売り上げの半分近くを占めるまでに成長した。
コンステラ セキュリティ ジャパンがこれまで成長を続けてこられたのは「変化を恐れず、挑戦を続ける」という企業文化があったからだ。設立から7年ほどの若い会社ながら、時代の変化を機敏に捉えて新しい分野に果敢に参入してきた。
同社は、サイバーセキュリティ領域と認知領域(個人や集団の心理や思考に働き掛け、政策や世論を操作する「認知戦」に関わる領域)における高い専門性で市場に存在感を示してきた。情報収集から分析、対策立案まで、トータルで支援している。
「当社の競争力の源泉は質・量ともに充実した情報にあります。世界中の専門企業とのネットワークを生かし、常に最新の攻撃手法の情報をキャッチアップしています。その競争力を支えているのは、何よりも人材です」と宮村氏は語る。
コンステラ セキュリティ ジャパンのアナリストチームは日本語や英語、中国語、ロシア語など多言語に精通したメンバーで構成されており、外国籍の従業員も多く在籍している。世界中のSNSやダークネットの脅威情報を幅広く収集・分析し、顧客にレポーティングするのが彼らの仕事だ。
自社開発のセキュリティ製品群も同社の強力な武器だ。同社が開発した脅威ハンティング支援ツール「THX」は、ネットワーク上の不審なトラフィックをキャプチャーおよび保存し、これを分析することで従来可視化できなかったリスクを明らかにする。THXは大手企業や官公庁を中心に数多く導入されている。
グローバルな専門企業とも複数のパートナーシップを締結している。サイバーセキュリティや認知領域の世界をリードするイスラエルのテクノロジー企業をはじめ世界中の有力企業と提携関係を築き、最新の脅威情報やノウハウを共有することでクオリティーの高いサービスを提供している。
コンステラ セキュリティ ジャパンはTHXの他にも、主力サービスとして「ソーシャルメディア脅威インテリジェンスマネージドサービス」を提供している。
SNSに拡散された情報は有害な情報にもなり得る。特に、情報の捏造(ねつぞう)や偽情報、誤情報の拡散は組織やブランドの評判にかかわり、国家の安全保障にも悪影響をもたらしかねない。
2023年に物議を醸した福島第一原発の処理水放出に関しては、SNSでネガティブキャンペーンが展開された。2023年5月に広島で開催されたG7サミットでは、中国による情報作戦の展開が確認された。2024年の台湾総統選挙では、候補者に関する偽情報が広まった。2024年1月に発生した能登半島地震の際にもSNSでさまざまな誤情報が流れた。
選挙や国際会議、自然災害などの際はSNSに偽情報が拡散され、国民の間に混乱を引き起こし、社会の分断を招く恐れがある。敵対国家がインフルエンサーなどを利用して自国の評判を高め、対象国の評判をおとしめるために情報操作することで、国際社会における対象国の立場を弱体化させようともくろむこともある。
こうしたリスクに対処するためには、SNSに拡散される情報を能動的にモニタリングし、分析し、対策することが極めて重要だ。ソーシャルメディア脅威インテリジェンスマネージドサービスは、高度なAI(人工知能)やリアルタイムのモニタリング、専門家による分析などを組み合わせることで、誤情報キャンペーンやなりすましなどに伴う風評被害から企業ブランドを保護する。台湾総統選挙の際は4人のアナリストを現地に派遣し、有権者にインタビューしてSNSの話題と比較分析するレポートを作成した。
設立以来の事業であるサイバーセキュリティ関連サービスも、ますますニーズが高まる分野の一つだ。サイバー攻撃の手法が日々進化する中、従来通りのセキュリティ対策だけでは十分とは言えない。
宮村氏は「当社のサイバーセキュリティサービスの強みは高度な情報収集力にあります。当社が出資する日本サイバーディフェンスには英国や米国の情報機関出身の専門家が多数在籍しており、私たちはそのネットワークを通じて一般企業では得難い質の高い脅威情報を入手しています」と語る。
未知の脅威を検知するための独自開発ツールもコンステラ セキュリティ ジャパンの強みだ。
「従来のセキュリティ対策は、既知の攻撃パターンにマッチした攻撃を検知して事後的に対処するものが中心でした。しかし今日求められているのは未知の脅威をいち早く見つけて先手を打つソリューションです。その鍵を握るのが、ネットワークで発生する膨大なイベントデータを収集・分析する技術です」(松浦氏)
同社はネットワークのあらゆるイベントを可視化し、AIを活用して脅威の兆候を検知する独自ツール「THX」を開発した。他社製品と連携させることで、高いコストパフォーマンスと防御力を実現する。こうした高度なソリューションは大手企業を中心に導入が進んでいる。
コンステラ セキュリティ ジャパンは、サイバーセキュリティと脅威情報の専門企業として事業内容をより分かりやすく伝える必要性があると考え、今回の社名変更に踏み切った。同社にとって「第二の創業」となる大きな転換点と言える。
新社名の「コンステラ セキュリティ ジャパン」は、その思いを反映している。「コンステラ」は、英語のConstellation(星座)に由来する。
「個々の星は小さな光ですが、星座として見れば壮大な景色が広がります。当社もそのように、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まり、一つのチームとして大きな力を発揮する存在でありたいと考えています。星座が複数の星の結び付きで一つの姿を形作るように、世の中のさまざまな情報を組み合わせて新たな価値を生み出す、といった思いも新たな社名に込めています」(宮村氏)
社名変更を機に、同社は脅威情報とサイバーセキュリティのプロフェッショナル集団としてさらに成長する。既存のサービスをますます高度化させるとともに、AIを活用してより効率的に多くの顧客にサービスを届けられる仕組みづくりに取り組む考えだ。
同時にサービスポートフォリオの強化も進める。偽情報対策としてファクトチェック機能を拡充し、フェイクニュースに惑わされない社会づくりを支援する。サイバー攻撃の検知だけでなく、インシデント発生時の初動対応などの顧客の課題により柔軟に寄り添えるサービスも開発している。
宮村氏は「今後は、官公庁向けの高度なソリューションで培ったノウハウを生かし、中堅・中小企業向けのサービスを開発します。高度な技術を基盤としつつリーズナブルで導入・運用しやすい製品やサービスを多くの民間企業に提供することで、日本社会全体のセキュリティレベルの底上げに貢献したいと考えています」と思いを語る。
同社の新たなコンセプトは「Light up the dark」(暗闇を照らす道しるべに)だ。未知なる脅威に立ち向かい、誰もが安心して安全に暮らせる社会を実現するために、コンステラ セキュリティ ジャパンは新たな一歩を踏み出す。
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提供:株式会社コンステラセキュリティジャパン
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年6月25日