迫る「SAP ECC 6.0」のサポート期限 クラウド移行でビジネス変革を実現する方法「2025年以降の成長」を支えるマイグレ/モダナイジャーニー「最終解」

「SAP ECC 6.0」がサポート終了を迎える2027年末まであと2年。クラウド移行の最適解を模索する企業に向けて、AWSはSAPとの密な連携を基にさまざまな移行パスをラインアップしている。SAP向けクラウド基盤提供を統括するAWSのキーパーソンに、ERPをビジネス価値創出につなげるためのジャーニーについて話を聞いた。

PR/ITmedia
» 2025年03月31日 10時00分 公開
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本記事は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社の依頼を受けて、同社の広告として掲載しています。


 SAPのERPはグローバルで広く利用されており、日本でも大手を中心に多くの企業で稼働している。その旧バージョンである「SAP ERP Central Component 6.0」(以下、ECC 6.0)が2027年末にサポート終了を迎え、SAPは最新バージョン「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)への移行を推奨している。

 SAPのカスタム延長サポートや第三者保守サービスを利用することで、ECC 6.0を継続利用する選択肢もある。だが、データ活用の在り方が企業競争力の差別化のカギを握っている今、構造化/非構造化データの高速処理などの特徴を持つS/4HANAに移行し、クラウドのメリットと組み合わせることでビジネスの付加価値創出に成功したケースは多数存在している。

 一方、S/4HANAへの移行には幾つか乗り越えなければならない課題もある。SAPのクラウドマイグレーションの豊富な実績を持つアマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS Japan)の西山芳生氏に、2027年問題を乗り越える現実的かつ効果的なアプローチを聞いた。

ECC 6.0のクラウド移行における3つの課題

 「サポート終了が迫ってきたことで、ECC 6.0のユーザー企業はS/4HANAへの移行を急ぐ機運が高まっています。しかし、その過程で幾つかの課題も見えてきています」

 西山氏はこのように述べ、3つの課題を挙げる。

 1つ目はSAPに精通した技術者が不足していること。日本市場において、もとよりSAPを得意とするSIerやコンサルタントの数が限られているのに加えて、ECC 6.0に関するプロジェクトの引き合いが急増して需要に供給が追い付いていない。この移行の支援者をどう確保するか。

photo AWS Japanの西山芳生氏(サービス スペシャリスト統括本部 プリンシパル、GTM スペシャリスト、AWS for SAP)

 2つ目は、日本市場においてIT人材そのものの枯渇が一層加速していること。ERPをオンプレミスからクラウドに移行することにより、データセンター/サーバ調達・運用をはじめとするインフラ関連業務は、外部にアウトソースできるメリットがある。一方、外部サービスを活用するに伴い、自社IT人材の役割、パートナー支援体制をどのようにアジャストしていくのかという課題は残る。

 そして3つ目が、単なるクラウド移行にとどまらず、ビジネスに新しい価値や競争優位を生み出すこと。

 「ERPをオンプレミスからクラウドに移行することで、インフラ面での効率化は推進できます。しかし、新たな競争優位性を創出することにはつながりません。クラウド移行と並行してERPに蓄積したデータを利活用することが、新たな価値や競争優位を創出するに当たっての最重要課題です」

 これはERPに限らずクラウド移行における一般的な留意点と言えるだろう。現行システムをクラウドに移行するだけでも一定の効率化、コスト削減は実現するが、既存の仕組みのままではビジネス環境の変化に対応できない可能性がある。業務のデジタル化や新たな活用方法などを見据え、使えるアセットは積極的に活用するスタンスが重要だ。

 事実、ECC 6.0のサポート終了を契機に、AWSとSAPのサービス群を使った「攻めのクラウド移行」を実現している企業は多数あるという。「先行企業の取り組みから学ぶことで、ビジネスに新しい価値を生み出すERP移行のヒントが見えてきます」と同氏は話す。

ECC 6.0をクラウド移行する選択肢

 SAPはS/4HANAのクラウド型サービスとして、「RISE with SAP」と「GROW with SAP」を提供している。

 RISE with SAPは、企業ごとのシングルテナント環境に「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」をデプロイし、SAPがSAP Basisレイヤーまでを運用する。ECC 6.0のユーザーは、S/4HANAへのアプリケーション移行を経て、既存のアドオン資産を自社テナント上で実装できる。

 GROW with SAPは、マルチテナントのSaaS型ERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」を中核とし、アドオンは極力、使用しないことが推奨される。いわゆる「Fit to Standard」を前提に、主に中堅企業や新規でS/4HANAを導入する企業を対象としたサービスだ。

 AWSは、2021年から「RISE with SAP on AWS」を提供しており、2024年12月に「GROW with SAP on AWS」を米国東部リージョンで提供開始すると発表した。グローバルで36リージョンに展開するAWSのインフラを使って、各国の規制に対応しながらAWSの柔軟性、拡張性、高度なセキュリティを活用し、ビジネスをスムーズに展開できる。この2つはSAPがインフラの構築と運用に責任を持つサービスであるため、前述したIT人材の枯渇に関する課題への対策にもなる。

 「ECC 6.0上にアドオン資産を持つ日本企業の多くのお客さまから、RISE with SAP on AWSをクラウド移行先として選択いただいています」

 ただ、自社による現行の運用のサービスレベルを維持しつつ、段階を踏んで運用体制を変えていきたいと考える企業も多い。そこでAWSは、SAP ERPのソフトウェアライセンスを持つ顧客向けに、もう一つの選択肢として「SAP on AWS Native」を用意している。自社の要件に合うように柔軟にインフラを構成できる他、クラウド基盤からSAP Basisレイヤーまでの運用レベルを自社で管理できる。

 「SAP on AWS Nativeのメリットとして、クラウドへの移行スピードの速さ、環境変更の自由度の高さなどが挙げられます。お客さまがオンプレミス環境で実績を積んできた運用体制を活用しつつ、自社で運用サービスレベルを管理したいお客さまに適しています」

 その後のS/4HANAへの移行も柔軟に実施できる。例えばSAP on AWS Nativeを使いECC 6.0をクラウドリフトしてクラウドならではのメリットをまず享受し、その後の状況に応じてRISE with SAP on AWSに移行してインフラの管理をSAPに委ねる、といったことも可能だという。

photo AWSが用意しているマイグレーションパス(提供:AWS Japan)

 「AWSは、お客さまのECC 6.0からS/4HANAへのクラウドマイグレーションパス全体をサポートいたします。お客さまの状況や経営課題に応じて、RISE with SAP on AWS、SAP on AWS Nativeの二つの利用形態からお選びいただけます」

SAPとの16年に及ぶパートナーシップはAIで新局面に

 こうした柔軟なマイグレーションパスを用意できるのは、AWSとSAPに長年の協業による実績があるためだという。

 「AWSとSAPには16年に及ぶパートナーシップの歴史があります。これはSAPが自社のトレーニング用システムやデモシステムを動かす環境としてAWSを選んだことからスタートし、年々協業の度合いを深めてきました。現在は、世界で数千を超えるお客さまにAWS上でSAPのERPをご利用いただいています」

 さらに、両社のパートナーシップはAIを中心に新しい段階を迎えている。

 「AWSはSAPのAI機能群『SAP Business AI』も強力に支援しています。その一つである対話型AIサービス『Joule』はAWSのデータセンター上でも動いていますし、SAPが提供しているERPの周辺サービス群『SAP Business Technology Platform』(以下、SAP BTP)に関して言えば、AWSは多くのSAP BTPサービスを実装しているクラウドプロバイダーの一つです。SAPは標準機能を最大限に活用することで、カスタマイズを最小限に抑える『クリーンコア』を推進しています。AWSはその実現をクラウドプロバイダーとして強くサポートしています」

photo SAPとAWSによるAIに関するイノベーション(提供:AWS Japan)

 ECC 6.0をS/4HANAに移行することで、JouleやSAP BTPの活用が加速できる。また、クラウド環境をAWSにすることで、AWSが提供する生成AIサービスとSAPデータを組み合わせたデータ利活用をシンプルに実現できるというわけだ。

富士通ゼネラルが踏み出したERPデータの活用

 AWSとSAPの協業が生み出すサービスを採用し、RISE with SAP on AWSを導入するのと並行してビジネスに付加価値を生み出したのが、空調機を主力事業の一つとする富士通ゼネラルだ。

 同社は基幹システムとして30年以上運用してきたメインフレームのクラウド移行を決断し、2023年10月にSAP S/4HANA Cloud Private Editionへの移行を終えた。併せてAWSの分析サービス「AWS Glue」「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)「Amazon Athena」「Amazon QuickSight」を導入し、国内での売上状況の可視化を実現するとともにS/4HANAの外で管理している量販店の販売データも含めて一元的に閲覧できる仕組みを実装している。

 「ERPのマイグレーションという『守りのIT』と、データ活用による『攻めのIT』を並行して取り組んだ事例です。SAPシステムだけでなく、空調機IoTなども組み合わせたデータ活用のフェーズに入っています。生産調達部品の所要変動分析による部品調達精度の向上、保守サービス部品の需要変動分析による納期順守率の向上などの効果も見えており、単なるクラウド移行でなく新たな企業体質への転換を着実に進めています」(富士通ゼネラル事例の詳細はこちら

 NTTデータグループは、2006年から15年にわたり利用してきた国内向け基幹システムをAWSで稼働するS/4HANAに移行した。約4年を費やした大規模なプロジェクトは、トラブルを起こすことなく2024年4月に完了した。現在はS/4HANAに蓄積したデータをAWSのデータ分析基盤と連携させ、共通ダッシュボードやBIツールを活用することでデータドリブン経営を開始している。

 この移行プロジェクトでは、AWS プロフェッショナルサービスとAWS エンタープライズサポートを利用。AWS プロフェッショナルサービスを要件定義書や詳細設計書のレビュー、技術支援に活用することでスムーズにクラウド移行できたという。加えてAWS エンタープライズサポートが、運用支援をはじめとしたS/4HANA移行後の安定稼働を強く後押ししたそうだ(NTTデータグループ事例の詳細はこちら)。

 これまでERPは安定稼働が第一であり、蓄積されたデータを有効利用できていない例が多かった。しかし、AWSには企業の状況と目的に応じたマイグレーションパスのラインアップと、各種移行支援サービスやデータを利活用するためのサービスが用意されている。

 「『ERPをクラウド移行しただけでは付加価値を生まない』という課題に対して、答えを見つけたお客さま事例が続々と増えています。クラウド移行を完了してデータ利活用に取り組んだ、先行するお客さま事例から学びながら、ビジネスに新たな付加価値を創出すべく共に変革に取り組んでいければと思います」

 決断の期限が迫る今、延命や移行を目的化することなくビジネス価値向上を見据えた取り組みを進め始めてはいかがだろうか。

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