VMware製品のライセンス変更を受け、多くの企業がITインフラの見直しを迫られている。当面は現状維持でも、中長期の視点ではITインフラの最適化、モダナイゼーションが必須と考える企業は多い。AWSはこれらの要求にどう応えるのか。
本記事は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社の依頼を受けて、同社の広告として掲載しています。
BroadcomによるVMwareの買収に伴い、「VMware vSphere」(vSphere)をはじめとする仮想化製品群のライセンス形態が変更された。価格の見直しやサブスクリプションモデルへの移行などが発生したものの、多くの日本企業は当面VMware製品の利用を選択している。
VMware製品で稼働する仮想マシンやアプリケーションなどのワークロードを新たなインフラに移行するには相応の期間とコストがかかるため、移行費も含めたコストを考慮すると現状維持が最適との判断があると考えられる。
ただし、「将来的にはクラウドに移したいというニーズは高まっています」と話すのは、VMwareワークロード移行のスペシャリスト、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS Japan)の豊田真行氏だ。
「『閉鎖が迫るデータセンターに置かれたVMware製品環境をすぐにクラウドインフラへ移したい』『ハードウェアが保守期限を迎えるため、古いシステムをオンプレミスからクラウドに移し、もう少し塩漬けにしたまま使いたい』といったケースが挙げられます。中には『AWSにVMware製品ベースのサービスを出してほしい』といった要望もありました」
そうした声に応え、2024年末に開催されたイベント「AWS re:Invent 2024」でプレビュー版として公開されたのが「Amazon Elastic VMware Service」(Amazon EVS)だ。「VMware Cloud Foundation」(VCF)をAWSで利用するサービスになる。
「Amazon EVSはBroadcomではなくAWSが提供します。すでに利用しているAWSアカウントを維持したまま、『Amazon Virtual Private Cloud』(Amazon VPC)上でVCFを動かせるのが特徴です」
Amazon EVSはvSphereが動作するため、既存のVMwareワークロードと高い互換性を持つ。「VMware vSphere Client」を使ってAmazon EVSにアクセスし、vMotionによる仮想マシンの移動や「VMware ESXi」ホストの起動、「VMware vSphere Distributed Resource Scheduler」(VMware DRS)による負荷分散などができる。管理者権限も付与され、パッチ適用やバージョンアップをユーザーが望むタイミングで実行できる。すなわち、オンプレミスで使用していたときと使い勝手は変わらない。さらに「VMware HCX」を使えば、オンプレミスのネットワークをクラウドまで延伸する「レイヤー2延伸」も利用でき、HCX vMotionによってダウンタイムなしでの移行も可能となる。
ポイントは、Amazon EVSはAWSのサービスであるため200を超えるAWSのサービスとも連携予定であることだ。移行したVMwareワークロードを、後で「Amazon EC2」や「Amazon EKS」「AWS Lambda」などのコンテナやサーバレスのサービスにリプラットフォームできる。つまり、Amazon EVSへの移行後にAWSのサービス群を使うことで運用コストや工数を削減し、さらに変化対応力の高いインフラへとシフトする道筋がおのずと開けるというわけだ。
AWSは企業がモダナイゼーションを検討するための指針として、次の7つの移行パスから成る「7R」と呼ばれるフレームワークを提唱している。無論、VMwareワークロードをAWSに移行する際も適用できる。
(1)リロケート:オンプレミスのシステムをそのままの構成でAWSに移行
(2)リホスト:既存アプリケーションをそのままAWSに移行
(3)リプラットフォーム:既存のアプリケーションやデータベースを部分的に変更してAWSに移行
(4)リファクタ:アプリケーションをクラウドに最適な設計に作り替えてAWSに移行
(5)リパーチェス:既存のアプリケーションをAWSのSaaSに移行
(6)リテイン:AWSに移行できないシステムやアプリケーションをそのまま保持
(7)リタイア:不要となったシステムを破棄
Amazon EVSはリロケートのために用意されたサービスだ。AWSは多様なニーズに応えるべく、他にも複数の移行支援サービスをそろえている。
その一つが、AWS re:Invent 2024でプレビュー版として公開された、Amazon EC2への移行を支援するサービス「Amazon Q Developer Transformation Capabilities for VMware」(Amazon Q Developer)だ。
Amazon Q Developerは、生成AIエージェントによってVMwareワークロードのAmazon EC2への移行を簡素化、自動化する。AWSはこれまでも移行支援サービス「AWS Application Migration Service」(AWS MGN)を提供してきたが、ネットワークやVPCなどの設計、設定、移行計画(ウェーブプランニング)作成を手作業で実施する必要があったため数週間から数カ月かかっていた。
「Amazon Q Developerはそれらを生成AIで自動化します。社内で検証したところ、従来はエキスパートでも2週間を要していたAmazon EC2仮想マシンへの500台のウェーブプランニングをわずか15分に、ネットワークの変換作業を2週間から1時間に短縮できました」
VMwareワークロードを別のプラットフォームに移したいが、コンプライアンス要件や業界規制などが理由で移行先がオンプレミスに限定されるケースもある。その場合は、AWSのインフラやサービス、APIなどをオンプレミスで使用できるフルマネージド型サービス「AWS Outposts」が適している。
VMware製品環境から移行したいが、仮想環境の運用スタイルをなるべく変えたくない場合は、AWSのパートナーソリューション「Nutanix Cloud Clusters on AWS」(NC2 on AWS)という選択肢もある。AWSのネットワークとネイティブに統合された、高速でセキュアな接続を提供するNutanixのハイパーバイザー「Nutanix AHV」にVMwareワークロードを簡単に移行できる。
ただし、長年アーキテクトチームを率い、AWSによるモダナイゼーションを支援してきたAWS Japanの内村友亮氏は、「移行の選択肢はリロケートだけではありません」と強調する。
「リロケートは短期的な解決策であり、それだけでは先を見据えたITインフラの最適化にはつながりません。コストや手間を削減し、ビジネスの変化に迅速に対応できるITインフラを目指すことが重要です」
例えばパートナーソリューション「Red Hat OpenShift Service on AWS」は、OpenShiftの仮想化機能「OpenShift Virtualization」にVMwareワークロードを移行して、仮想マシンとコンテナを共存させられる。これを利用してアプリケーションをマイクロサービスアーキテクチャに変更し、コンテナと組み合わせることでCI/CD環境を整備してテストやデプロイを自動化するなど開発プロセスの高速化を図れる。
「Amazon EVSは移行の第一段階に過ぎません。既存システムをAWSに移行すれば、例えば『Amazon Relational Database Service』を使ってデータベースワークロードをオフロードするなど各種運用業務のコストや手間を削減できます。その上で多様なサービスを組み合わせてビジネス価値向上へとシフトすることが肝要です」
ただ、リロケートから始めるにしても「進め方が分からない」「どのアプリケーションをどのインフラで動かすべきか判断できない」といった声も多い。そこでAWSは、VMwareワークロードを含むAWSへの移行やモダナイゼーションを包括的に支援するサービス「ITトランスフォーメーションパッケージ」(ITX)を提供している。企業ITのさまざまな領域のエキスパートがビジネス成果の達成を支援する「AWS プロフェッショナルサービス」もこれに含まれる。
「AWS プロフェッショナルサービスは、移行コストの試算やアプリケーションのポートフォリオ分析といった経営層の意思決定に必要な情報を整理し、社内提案の段階から支援します。トレーニング教材を通じたエンジニアのスキル習得サポートによって、運用の内製化も促進します。例えば規模感として、数百の仮想サーバを有する基盤の場合はエキスパートの協力を得ることをお勧めしています」(内村氏)
移行に伴うコスト削減効果を予測する無償のアセスメントサービス「AWS Optimization and Licensing Assessment」(OLA)を利用できるのもポイントだ。既存のVMwareワークロードを分析してライセンス費用やインフラの使用状況、依存関係などを明らかにし、AWSへの最適な移行パスやコスト削減効果などを見積もれる。
基幹システムを含むAWSへの移行実績が豊富なパートナーを認定する制度「Migration Competency Partner」(MCP)の支援も受けられる。日本には多くの認定パートナーがおり、そのうち11社はITXが従来提供するプログラムを組み合わせた「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ for MCPパートナー」(ITX for MCP Partner)を提供可能だという。これらのパートナーを通じて、AWS移行に関する包括的な支援を受けられるというわけだ。
「2025年に入り、VMware製品環境のAWS移行に多くの実績を持つ数十社のパートナーが参加する『AWS Partner Community』も設立しました。各業種や業界固有のワークロードに最適な移行と移行後のモダナイゼーション、運用最適化などの知見と実績を持つパートナーが集まっており、多様な相談に応えています」(豊田氏)
こうした支援を受けて、すでに多くの企業がAWSへの移行と、それを礎にしたモダナイゼーションを実施している。
ITXを利用して従来のオンプレミス型基幹業務システムをAWSに移行したのは南海電鉄だ。DXに向け、ビジネス環境の変化に耐えうる柔軟性・拡張性の高いITインフラとしてクラウドの活用に舵を切り、100%内製化を実現。同時に、6年でマイナス25%のコスト削減とプラス30%の生産性向上効果を得られると試算している(南海電鉄事例の詳細はこちら)。
経営層の強力なバックアップでAWSへの移行を進め、成功を収めたのはAstemo(旧称:日立Astemo)だ。同社は自動車部品などの設計、製造で利用するPLM(製品ライフサイクル管理)システムをわずか4カ月でAWSに移行し、運用コストを5分の1に削減。AWS プロフェッショナルサービスによって人材育成も行い、ビジネスに貢献できる組織に変革したという(Astemo事例の詳細はこちら)。
「こうした多数の移行支援を通じて蓄積したノウハウは、ITXに反映させています。VMwareワークロードをAmazon EVSやAmazon EC2に移行するお客さまには、ぜひITXを移行の第一歩としてほしいですね」(内村氏)
一般に、仮想化環境の移行というとコストの観点ばかりが注目されがちだ。だが、こうした支援によって現状を把握してコスト合理性を見極め、最適な移行計画を立てればビジネス価値向上という真の目的はおのずと視野に入る。移行支援で得られる数々の手掛かりが、差別化を目指す経営層の意思決定とIT理解を促すことは言うまでもない。内村氏は、「皆さまが着実に競争力を高められるように包括的に支援します」とまとめる。
「今、企業にはよりビジネス価値の高い領域にリソースをシフトすることが求められています。その点、既存のアーキテクチャを変えずにVMware製品環境を移行して、AWSのサービスを使って運用負荷をオフロードし、さらにビジネス価値を高めるシステムへとシフトするのは合理的なアプローチです。ただし、その後も経営環境に最適な仕組みに発展させ続けることが差別化につながります。AWSとパートナーは、運用コストの大幅削減とアプリケーションのモダナイゼーションを同時に実現する包括的な支援体制とサービスを整えています。ぜひ競争力強化に向けたジャーニーをご一緒できればと思います」
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年5月9日