日本初「携帯で利用できる学生証」――神奈川工科大:おサイフケータイで学生証:
神奈川工科大学は2006年4月より、おサイフケータイを利用したモバイル学生証システムをスタートする。システム導入には、KDDI、内田洋行などが協力した。
神奈川工科大学、KDDI、ビットワレット、内田洋行、王子製紙、大崎コンピュータエンヂニアリング、シー・エス・イー、ネットワールドは12月16日、日本初の携帯電話に表示する学生証「モバイル学生証システム」を発表した。神奈川工科大学では2006年4月1日からこのシステムを導入、サービスを開始する。
神奈川工科大学では現在、磁気カードの学生証を学生に配布しているが、2006年4月からはすべて、カードタイプのFeliCa内蔵学生証に交換する。希望者は、専用BREWアプリをインストールした携帯電話を併用することで、カードの学生証と同等またはそれ以上の機能を利用できるようになる。対応機種は、au「W32S」「W32H」の2機種で、今後順次FeliCa内蔵の新端末に対応していく予定。神奈川工科大学では、2006年度に入学する1200人の新入生全員に対応機種を配布するとしており、「初年度で1200名以上の利用を見込める」とした。
神奈川工科大学では、2008年の完成を目指して「キャンパス再開発」を進めており、モバイル学生証システムもその一環として採用された。新しく導入されるシステムは「Let's KAIT Walker」と総称される。「キャンパスの再開発を機に、新しいサービスを展開したいと考えている。現行は磁気カードの学生証を使っているが、磁気カードではできなかったことが、FeliCa学生証を導入することで可能になる」(神奈川工科大学)
FeliCaを利用した学生証システムとしては、札幌大学の導入例などがあるが(7月2日の記事参照)、携帯電話に学生証機能が入るのはこれが初となる。
モバイル学生証でできること
携帯電話版の学生証「モバイル学生証」は、専用のBREWアプリ「Kapli」を対応機種にインストールすることによって利用できるようになる。大学近隣の施設では、携帯の画面に学生証を表示させたものを提示すれば、カードを持っていなくても学割などのサービスを受けられる。
電波が届かない場所での利用を想定し、アプリから通信を行わずに学生証の表示ができるようになっている。ただし有効期間をチェックするため、一定期間おきに自動的に学生証情報を更新するようになっている。
「Kapli」ではほかにも、時間割や出席率・出席情報、試験日情報などの確認ができる機能が搭載されている。また、学生向けのWebサイト「KAIT Walker」にアクセスできる。KAIT Walkerでは、キャンパスの天気やカフェテリアの様子などの情報を配信するほか、将来的には通学用バスにGPSを搭載、運行状況をリアルタイムに確認できるようにする予定だ。
FeliCa内蔵の学生証でできること
以下、カードタイプのFeliCa内蔵学生証と、モバイル学生証の両方で利用できることを見ていこう。
新たに建てられた「情報学部棟」では、教室に付けられた電子錠を、学生証で解錠できる。解錠と同時に学生の出席情報も登録できるようになっており、学生の出席情報はリアルタイムで集計され、教卓にあるPCに表示される。「従来は教員がハンディタイプの端末を教室に持っていき、生徒たちに回して学生証を通させて出欠を取っていた。これだと時間がかかるが、FeliCa学生証を使うことで、出欠を取る時間がゼロになり、教員の負担も減る。また、授業後に端末を教務部に持ち帰り、授業情報などを登録しないと出欠が分からず、リアルタイムの処理はできなかった」(神奈川工科大学)
キャンパス内にある学生食堂、売店など全店舗(旅行会社のカウンターを除く)、自動販売機がEdyに対応。学生証やおサイフケータイにチャージした電子マネーが利用できるようになる。Edyチャージャーも多数設置し、利便性を向上させるという。また、内田洋行の証明書自動発行システム「PAPYRUSMATE」のEdy対応版が新たに導入される。
2006年度後半には3キャリア対応
4月の時点ではauの2機種でのみスタートするが、2006年度後半には、ドコモ・ボーダフォンのおサイフケータイでも利用できるようになる予定。auのみでスタートする理由について「若者はauを支持する率が高いこともあり、まずはKDDIと一緒に始めさせていただくことになった」と説明した。
学生証はFeliCaチップと磁気ストライプの両対応になっている。4月のサービススタート時にはFeliCa対応電子錠が導入されるのは情報学部棟のみなので、他の校舎では、しばらく磁気カードによる運用も並行して行うことになる。「今後建て替える新校舎ではFeliCa対応の電子錠が導入される予定。図書館なども現在は磁気カードで運用しており、早くIC化したい」(神奈川工科大学)
同システムは今後、他大学でも導入される見込み。システムの導入にかかった費用については明らかにされなかったが、「みなさんが予想されるより、安く済んでいるはず。4〜5年前であれば、このようなIC化をするのには5〜6億はかかっていた。それに比べると格段に安い」(神奈川工科大学)とした。
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