BorCon 2004開幕、ツールを基盤に「ビジネスの生産性改善」へと進化するBorland:BorCon 2004 Report
「ビジュアル開発」から「チーム開発」へと革新を遂げたBorlandがBorCon 2004で掲げたのは、「ビジネスの生産性」だった。ツールやデベロッパーコミュニティーを基盤とし、さらなる前進を狙う。
3年前、ニューヨークとワシントンD.C.を襲った同時多発テロは、その傷跡が癒えるどころか、さらなる悲劇の連鎖を生み、社会の至るところに暗い影を落としている。
米国時間の9月12日夕方、カリフォルニア州サンノゼで、Borland Softwareの年次デベロッパーズカンファレンス「Borland Conference 2004」が開幕した。いつにない厳しい入国審査を終え、サンノゼコンベンションセンターに駆けつけたが、今年で15回を数える老舗カンファレンスの規模はどうやら昨年を下回りそうだ。昨年が「創立20周年」を祝う節目のカンファレンスだったことを差し引いても寂しい。忠誠心の高いデベロッパーらに支持されているBorlandだけになおさらだ。
最盛期には砂漠の不夜城、ラスベガスに20万人が押し寄せたCOMDEX/Fallも今年は中止に追い込まれた。大規模なトレードショーやカンファレンスの難しさを象徴している。
それでも、毎年BorConのホストを務めるデベロッパーリレーション担当副社長のデビッド・インターシモン氏が登場し、オープニングセッションが始まると約1000人のデベロッパーらが詰め掛けたボールルームはコンサート会場のように沸いた。「デビッド・I(アイ)」の呼び名でデベロッパーから親しまれている彼は、フロアを駆け回り、ロックスター顔負けだ。
次なる革新は?
ここへきてBorlandの製品ラインは大きく様変わりをしている。2002年10月、同社はStarBase、TogetherSoftの買収を相次いで発表し、2003年初めには、要件定義、設計、開発、テスト、配備、および変更管理というライフサイクルすべてをカバーする「Borland ALM」(Application Lifecycle Management)を完成させた。
同社を率いるデール・フラーCEOは、ブリティッシュテレコムを傘下に収めるBTグループがBorlandのALMソリューションで開発環境を標準化したことを誇らしげに紹介する。そのユーザー数は1万8000人に上るという。これまではビジュアルプログラミングツールで開発生産性を改善してきたBorlandだが、チームの開発生産性を改善するベンダーへの脱皮といえる。
しかし、フラー氏は自身6回目となる今回のBorConで、Borlandのさらなる前進も約束する。
「ソフトウェア開発プロジェクトの1/3は(成功裏に)完了しない。莫大なお金のムダにしている」とフラー氏。
日本の調査ではソフトウェア開発プロジェクトの成功率はわずか1/4という恐ろしい数字もある。要件定義の開発や管理、変更管理が、効率的なツールなしでは難しいことに起因している。フラー氏は、次の狙いを「ビジネスの生産性改善」に定め、「人」「プロセス」、そして「テクノロジー」を最大限に活用する「Software Delivery Optimization」(SDO)構想をぶち上げる。
「多くのほかのベンダーは、ビジネスの側面ばかりに着目し、失敗しているが、われわれはコードを最もよく理解している。ALMのツール群や専門知識のうえにプロジェクトを計画・評価するソリューションなどを積み上げていく、下からのアプローチを取ることができる唯一のベンダーだ」とフラー氏。Borlandは8月、カナダのSoftware Productivity Centerからプロジェクト計画・評価ツール「ESTIMATE Professional」を買収している。
フラー氏は、同社をこれまで支えてくれたデベロッパーへの感謝も忘れなかった。
「われわれを支えてくれているのはデベロッパーコミュニティーだ。ALMやSDOについて多くのことを耳にすることになるが、それは変わらない」(フラー氏)
13日夜には、熱心な支持者が多いことで知られるDelphiの次期バージョン(コードネーム:Diamondback)がプレビューされることが伝えられると、会場からは歓声も上がった。
関連記事
- 「ソフトウェアデリバリーの最適化」を説くBorland
- 次期版Diamondbackを歓迎するDelphiデベロッパー
- ソフトウェア開発プロジェクトの問題解決を目指すBorland
- Borlandの次の一手は「SDO」、目指すはソフトウェア開発のための「ERP」
- Borland、Delphi次期版「Diamondback」をプレビュー
- ボーランドとマーキュリー、プロジェクト管理ソリューションで協業
- ボーランド、Javaアプリケーション統合開発環境の最新版を販売開始
- NECと米Borland、WebアプリケーションとSIPサーバの連携ソフト開発で提携
- Borland、プロジェクト計画・評価ツールを買収
- ボーランド、VS .NET用に安価なモデリングツール
- ボーランド、ソフト開発向け要求管理システム日本語版を販売開始
- レビュー:UMLの付加価値で開発効率を高めた「JBuilder X Developer/Together Edition for JBuilder X」
- レビュー:WebアプリからEJB開発まで対応する「Borland JBuilder X」
- Borland Conference 2003-2004 Tokyoが開幕
- UML統合で新たなアプローチを見い出したJBuilder X
- ボーランド、.NET普及促進をするDelphi 8日本語版を2月19日に発売
- Java開発は揺るぎない基盤を手に入れた、2004年は.NETが本腰へ
- オープンソースツール対応とチーム開発を支援するJBuilder X 日本語版を発売
- ボーランド、次世代Java開発プラットフォーム日本語版などを発表
- ボーランドのJava開発ソリューションで始めるALM開発のすすめ
- ライフサイクル管理でソリューション志向を鮮明に打ち出すBorland
- BorCon 2003 Report
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.