オープン化と革新が加速、Hannoverで新境地を開くNotes/Domino:Lotusphere 2006 Orlando Report(2/2 ページ)
Lotus Notes──成熟した製品と見られがちだが、さらに革新のスピードを加速している。オーランドの「Lotusphere 2006」では、「Hannover」の初めてのデモが披露されたほか、Domino次期版の概要も発表された。
Activityは「プロジェクト」という言葉で置き換えると分かりやすいかもしれない。普段、多くの人はプロジェクトの管理を電子メールに頼っているのではないだろうか。関連するドキュメントを添付してやり取りしたり、指示したり、問い合わせしたり……。しかし、実際にはインスタントメッセージングによるコラボレーションもある。オンライン/オフラインを問わず、ミーティングも節目節目で行われる。HannoverとDominoの次期メジャーアップグレードでは、Activityを中心に据え、あるプロジェクトに関連する電子メール、カレンダー、ドキュメント、そしてチャットといったさまざまな情報をひも付けてナビゲートし、情報共有をより自然にしてくれるのだ。
Activityの機能は、全く新しいものではなく、コラボレーションのためのコンポーネントを組み合わせて使うWorkplace Collaborative Services 2.5ですでに用意されている。「Activity Explorer」と呼ばれる機能だ(LotusphereではWorkplace製品群の新バージョンが発表されている)。
Hannoverには、こうしたActivity-Centric Computingの機能以外にも、IBM Workplace製品群の優れた機能を幾つか取り入れたところがある。HannoverからNotesクライアントはEclipseベースのIBM Workplace Client Technologyが基盤となるため、オープンな仕様に基づいたコンポジットアプリケーションの作成をサポートするほか、サーバ管理型のIBM Workplace Managed Clientのひとつになるのもそうした例だ。
2002年、かつてLotus部門を率いたアル・ゾラー元GMは「Notesの機能をJ2EEベースのモジュールとして書き換え、コラボレーションを“解放”する」とまで言い、後任のアンブッシュ・ゴヤール元GMも2003年に最初の電子メール製品を投入し、「Next Gen」ストラテジーを掲げた。
しかし、Java標準への乗り遅れを過剰に恐れた一連のNext Gen構想は、顧客はもちろん、IBM自身も得るものは少なく、昨年のLotusphereでゴヤール氏も「“Notesプラス”“Dominoプラス”であるべきだ」とし、計画を葬り去った。IBM Workplace Client Technologyによってクライアントにもオープンな標準による統合機能が備わる中、熟成が進み、性能も改善されているDominoサーバをわざわざJ2EEコンポーネント化するメリットはなかったのだ。
Lotus Notes/Dominoのセールスを統括するエド・ブリル部門執行役(Business Unit Executive)は、「われわれは多くのことを学んだ」と振り返る。
Notesは、いよいよHannoverによって、Dominoの束縛から解放され、Dominoだけでなく企業内のさまざまなサーバやWebサービスのクライアントとして機能する。IBMがオープンスタンダード化を推進する当然の帰結だとブリル氏は話す。
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