UTM分野で強い競争力を発揮するソニックウォールの“秘密”(3/3 ページ)
ソニックウォールは、従来からファイアウォール/VPNアプライアンスベンダーというイメージが強かった。しかし、最近ではUTM(Unified Threat Management)のリーダーとしての立ち位置を強くアピールし、「ソニックウォール=UTMベンダー」というイメージが定着しつつある。すべての脅威を統合的に守る“UTM”というキーワードは、日本ではまだ緒についたところだが、その市場は2008年にはファイアウォール/VPN製品のマーケット規模を上回るとの予測もある。そのような中で、2005年第1四半期から第3四半期におけるソニックウォールの実績は、ワールドワイドで出荷台数・売り上げともにトップに躍り出る実績を上げた(2005年第1四半期〜第3四半期 IDC調べ)。同社のUTM製品が、なぜ強い競争力を持っているのか、その魅力と秘密について紹介しよう。
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セキュリティ機能を分離したアプライアンスも
同社が現在展開している2つ目の柱は、ビジネスの生産性を向上させるコンテンツセキュリティ分野への参入である。業務に関係のないサイトのアクセスを禁止したり、有害なサイトからスパイウェアなどの侵入を防御することも、同社にとっては大きな使命だという。この2月には電子メールセキュリティ企業の米MailFrontier社を買収。また、ソニックウォールのCSM(Contents Security Manager)製品をベースに、キヤノンシステムソリューションズと共同開発したフィルタリング・アプライアンス「GUARDIANBOX URLFilter」を発売したりと、コンテンツセキュリティの分野でも積極的な展開を図っている。
「先ごろ我々が買収したMailFrontier社では、スパムフィルタのソフトウェアを取り扱っていますが、それを日本市場に投入するかはまだ決まっていません。当社の基本姿勢は、あくまでアプライアンスを提供することであり、その中の統合機能の1つとして提供することになるため、アプリケーション単体を分離してユーザーに提供することはないでしょう。ただし、さらに複合的なアプリケーションが登場し、UTM本体だけでは処理できないことになれば、これらの機能を専用アプライアンスとして分離していくことになるかもしれません」(同氏)
前述のキヤノンシステムソリューションズとの提携は、セキュリティ機能の一部をアプライアンスに分離するという戦略の一環でもある。GUARDIANBOX URLFilterには、URLフィルタリング機能のほかにも、ゲートウェイアンチウイルス機能が搭載されている。同社のUTMアプライアンスにGUARDIANBOX URLFilterを組み合わて使用すれば、セキュリティ機能の一部を補完できるため、UTMアプライアンス自体のスループットを向上できる。「特にハイエンド用途については、UTMアプライアンスにすべての機能を集約する形が必ずしも良いとは言えません。パフォーマンスと機能のバランスが重要になると考えています」(同氏)
そして最後の柱は、ポリシー/マネジメント分野の充実である。同社のUTM製品を管理するオプションとして、アプライアンス、ファームウェアのアップグレード、セキュリティサービスやサポートといったライセンスなどを一元管理できるGMS(Global Management System)が用意されている。現在のところGMSは日本語化されていないが、最終的にはローカライズを行い、多くのユーザーが利用できるようにしていくという。
「GMSによって、複数のUTM製品のモニタリングや設定などをセンター側から一元管理できるようになります。専任の管理者がいなくても管理・監視・運営が行えるため、導入後の運用コストの大幅な削減に役立ちます」(同氏)
たとえば、GMSによるポリシー/マネジメント管理は図1のようなイメージである。これはパフォーマンスを重視した大企業向けシステムの構成例だが、もちろん中堅小企業においても展開できる。中核となるPROシリーズをTZシリーズに置き換えたり、ワイヤレス化することも可能だ。
図1:UTMハイエンド製品であるPRO4100にゲーウェイアンチウイルス機能を搭載。コンテンツフイルタ機能に関しては、CSMを置いて別処理を施す。さらにSSL VPN専用装置によってリモートセキュリティをサポート。GMSはこれらすべてを一元管理できる
このように同社では、コアコンピタンスであるネットワークセキュリティ分野に注力しながら、さらにコンテンツセキュリティ、ビジネスの継続性、さらポリシー/マネジメントの集中化を図ることで、包括的なソリューションをユーザーに提供しようとしている。この姿勢こそが、同社が統合セキュリティ分野のリーダーとして市場を牽引しているゆえんであろう。
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提供:SonicWALL Inc.
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年4月30日
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