新たな買収ソリューションで進化を続けるOracle Fusion Middleware:Oracle OpenWorld Asia Pacific 2007 Report(2/2 ページ)
上海で開催されているOracle OpenWorld。3日目の基調講演では、買収によって獲得した技術を取り込み、さらに完成度を高めていくOracle Fusion Middlewareの紹介が行われた。
買収ソリューションがミドルウェアスイートを完成させる
一連の解説の中のトピックに、昨年のサンフランシスコでのOracle OpenWorldからのアップデートがいくつかあった。その1つは、コンテンツ管理の分野だ。ここでは、買収による統合が完了したStellentの機能がOracle Fusion Middlewareと融合する。これにより、ユニバーサルコンテンツ管理、エンタープライズコンテンツ管理、Webコンテンツ管理という3つの領域をカバーできるようになる。ステージでは、自動車の世界選手権(F1)のルノーチームによる、映像やロゴなどのコンテンツやその版権を管理するソリューションが、ビデオで紹介された(ステージでは音声の不調で途中で打ち切られたが、このビデオ映像はoracle.comのWebページにリンクが用意されている)。
さらにデモンストレーションを用いて紹介されたのが、ID管理のEnterprise Single Sigin On(SSO)環境だ。これまでにもSSOについては何度も紹介されてきたが、ここでは2つの新たなソリューションが紹介された。1つ目が、PasslogixのOEM製品で実現しているパスワードリセットをユーザーがセルフサービスで実行する機能だ。ユーザー自身がパスワードをリセットすることで、Oracle関連のアプリケーションだけではなく、Windowsのログオンやオフコンへのアクセスまで、あらゆるアプリケーションのパスワードを自動的に変更できる様子が示された。
もう1つのアップデートが、2007年7月に買収を完了したばかりのBharosaによる、IDの不正取得および不正利用を防止するリスクベースのアクセス管理機能だ。SSOを用い各種アプリケーションへの認証を簡単にしていくと、例えばWebベースのクライアントが不正に乗っ取られた場合、すべてのユーザーアカウントとパスワードの漏えいといったリスクが増す可能性もある。こういったSSO環境下のリスクをコントロールし、ユーザーにとっては簡便に、システムとしてはセキュアにアクセスできるようにするのがこのソリューションだとリズビ氏は説明する。
ミドルウェアの領域での3つ目のアップデートは、HyperionのBI技術の融合だ。HyperionのFinancial Performance Managementが加わったことで、従来からの基幹系システムのレポーティングと、BIによる情報系のレポーティングとが連携し、Enterprise Performance Management Systemが完成したという。
最後のアップデートは、グリッドコンピューティングに関連するものだ。データベース層でのグリッドはOracle Database 11gで強化されているが、ミドルウェア層でのデータグリッドを実現するソリューションとして、これも2007年3月に買収したばかりの、Tangosolの製品であるOracle Coherenceをリズビ氏が紹介。これにより、データベースを利用せずにミドルウェア層だけでもグリッドが実現でき、システム全体の柔軟性および可用性が格段に向上する可能性があるという。
完成されたミドルウェアを、あくまでもオープンスタンダードに準拠して提供する。これにより、Oracle Fusion Middlewareは製品としても、また市場のリーダーとしてもさらに成長を続けるのだろう。だが完成形を目指すには、まだ足りない部分をさらに補っていく必要がある。例えばSSO環境下でのロール管理などは、Oracle製品については可能だが、そのほかのものに関してはまだ対応しきれていないという。こうした部分の改善に関しては、自社開発およびさらなる製品の買収などの方法を用いながら、より完璧なミドルウェアスイート製品を目指すことになるに違いない。
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