ルイ・ヴィトンも採用したIBMの情報活用戦略、中核をなす「InfoSphere」が日本で旗揚げ:Information On Demand Autumn Forum 2008
情報が持つビジネスの価値を解き放ち、誰もがそれを活用できるようにする――IBMは情報活用戦略「Information On Demand」を2006年から大々的に打ち出している。その中核をなす情報統合ソリューション「InfoSphere」が日本でも発表された。
「情報管理の重要性は10年前から提唱されてきた。だが企業は本当に情報を活用できているのか」
日本IBMが11月19日に開催した「Information On Demand Autumn Forum 2008」の基調講演で、日本IBMソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部IOD営業部の森英人部長はこう切り出した。
企業内では、業務ごとに構築されたシステムがバラバラに存在していることが多い。基幹システムと情報系システムをまたがる「商品情報やロケーション情報などのデータを縦横無尽に使えていない」(森氏)という課題がある。
同イベントでは、アプリケーションとデータを分離し、企業が業績の向上や経営の舵取りに活用できる信頼性の高いデータを提供するIBMの情報活用戦略「Information On Demand(IOD)」が大きなテーマとして言及された。IODが目指す姿は、企業内のあらゆる情報を管理、統合、分析し、「経営者だけでなく、営業部門やコールセンターの担当者まで、誰もが情報を正しく使えるようにする」(森氏)ことだ。
既に大手企業を中心にIODの採用は進んでいる。ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドを展開するLVMHは、販売管理システムと物流システムが縦割りだったため、商品の配送を追跡できなかったほか、データの二重入力も頻繁に起こっていた。これらをIODの導入で解決した。誤請求や優良顧客の選別を改善した米Verizon、リレーショナルデータベース管理システムと紙の資料のデータを融合してビジネスを最適化した日本生命もIODを活用したユーザー企業だ。
基調講演で大々的に打ち出されたのは、IODの中核をなすブランド製品「InfoSphere」。これは企業向けデータウェアハウスや統合データ管理ソフトウェアなどを製品群とする情報統合ソリューションという位置付けだ。「海外ではこのブランドを使ってきたが、日本で正式に発表するのは今回のイベントが初」(日本IBMソフトウェア事業、インフォーション・マネジメント事業部理事の下垣典弘事業部長)という。
主な製品として、データベースの仮想化やレプリケーションなど情報流通の基盤を提供する「InfoSphere Information Server」、マスターデータを一元管理し、異なるシステム間で使えるようにする「InfoSphere MDM Server」、ペタバイト級のデータを圧縮したり並列処理したりする「InfoSphere Warehouse」、業種別の評価指標をテンプレートとして提供する「Industry Model」がある。
森氏は「ハードウェアやソフトウェアといった箱物を並べるだけでなく、情報を活用するという視点が必要だ」と話す。これまでIBMはFileNetやCognosなどを統合し、情報が持つ価値をアプリケーションやシステムから解き放つための製品群を拡充してきた。日本IBMは「トラステッド(信頼のある)データが企業の成長を支える」(下垣氏)という考えの基、日本でもIODの普及を加速させていく。
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