主要サーバは軒並みマイナス成長――暗雲立ちこめる3Qの国内サーバ市場:富士通は1位に返り咲き
国内における7〜9月のサーバ市場の動向をIDC Japanがまとめた。主要サーバ製品は軒並みマイナス成長を記録したほか、x86サーバの出荷金額が23四半期ぶりの水準に落ち込むなど、景気減速の悪影響が数字に現れた。
調査会社のIDC Japanが12月8日に発表した国内サーバ市場動向によると、2008年第3四半期(7〜9月:3Q)において、主要なサーバ製品の出荷金額が軒並みマイナス成長を記録した。企業がサーバを買い控えるなど、景気減速の影響が鮮明になった。
国内における3Qのサーバの市場規模は1473億円で、前年同期より9.7%縮小した。2008年第3四半期の出荷台数は15万6000台で、同2.8%減となった。
3Qの市場動向を製品ごとにみると、x86サーバ/RISCサーバおよびIA-64サーバ/メインフレームの主軸がそろってマイナス成長だった。特に目立ったのは、x86サーバの出荷金額の落ち込み。前年同期比9.9%減は2002年第4四半期以来となる5%以上のマイナス成長で、23四半期ぶりの大幅な落ち込みとなった。メインフレームは大型案件が複数あったものの、2期続いたプラス成長を維持できなかった。RISCサーバおよびIA-64サーバは2けたのマイナス成長だった。
前期にあたる2008年第2四半期は多数の大型案件の影響でプラス成長だったものの、サーバの買い控えなどにより3Qはマイナス成長となり、事態は一転した。同社でサーバリサーチマネジャーを務める都築裕之氏は「経済減速の影響から、サーバの更新や新規導入の延期が目立った。9月の金融危機以降、経済状況が厳しくなっていることから、今後は国内サーバ市場への影響が今期以上に現れる」と発表文内でコメントしている。
ベンダー別では富士通が1位に返り咲き
サーバの出荷金額をベンダー別に調べたところ、富士通が日本IBMを上回り、1位に返り咲いた。金融業および官公庁向けのメインフレームおよび金融業向けのIA-64サーバの大型案件が好調だった。
前回1位の日本IBMは製造業向けのメインフレームと官公庁向けのRISCサーバで大型案件を獲得していたものの、2位に後退。3位にはx86サーバの出荷金額で首位だったNEC、4位は日本HP、5位は日立製作所だった。上位5社で出荷金額が前年同期より増えたベンダーはなかった。
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