AIXを管理する上でのポイント:UNIX処方箋
現場ですぐに役立つ知識を欲するあなたに贈る珠玉のTips集。いつもSolarisの話題ばかりでしたので、今回はAIXを管理する上でのポイントを解説します。
これまでSolarisベースのシステムの管理をしていましたが、社内システムの入れ替えにともない、IBMのUNIXサーバ(System p5 550)を管理することになりました。AIXを管理する上でのポイントを教えてもらえますか?
オンライントランザクション性能の高さから、データベースサーバとしてIBM pSeriesを導入するケースが多くなっています。SolarisとAIXは、同じUNIX系OSということで基本的な考え方は同じです。しかし、実際管理する場合は次のような違いに注意する必要があり、導入当初はとまどう方が多いようです。
- システムを管理するためのツールの違い
- 管理用ファイルが保存されているディレクトリの違い
- デバイスへのアクセス方法の違い
ここでは、管理するポイントだけを紹介します。なお、マニュアルについて、AIXやコンパイラについて参照するなら「IBM System p および AIX インフォメーション・センターへようこそ」を、pSeriesのハードウェア関連情報について参照するなら「IBM SystemsハードウェアInformation Center」がそれぞれ役立ちます。
管理用コマンド(smitty)の基本操作
AIXではシステム管理者用コマンドとしてsmitty(GUI版smit)が用意されており、アカウントの追加、論理ボリュームや、ネットワーク環境の変更などを含むシステム管理に関するほとんどの操作を行えます。
smittyはメニュー形式になっており、基本的なファンクションキーの割り当ては以下のとおりです。
利用するキー | 機能 |
---|---|
F3キー、またはESC+3キー | 前の画面に戻る |
F4キー、またはESC+4キー | 各項目ごとに設定できる値の一覧を表示 |
F7キー、またはESC+7キー | 設定内容のコミット |
Tabキー | 入力可能な値を順番に表示 |
ユーザーアカウント
smittyコマンド起動後、[security&user]メニューを選択し、設定します。使用可能なメモリ容量、作成可能なファイルサイズなど、ユーザーが利用できるシステム資源をユーザーアカウントの属性として設定できるほか、/etc/security/limitsに保存された値を直接編集することもできます(詳細はman ulimitを参照)。
ページングスペース
ページングスペース(スワップエリア)の容量を変更する場合には、smitty起動後、[SystemStorage Management]-[LogicalVolume]-[Paging Space]にて設定します。
ページングスペースが不足した場合には、initによるログインプロセスが起動できなくなり、システムをリセットする以外に復旧できなくなる場合があるため、利用状況に応じ適宜変更します。ページングスペースの拡張は通常運用中でも行えます。
rootvgの冗長化
AIXでは、ボリュームマネージャの機能がOSの標準機能として提供されています。
システムディスクはrootvgというボリュームグループに属する必要があります。このrootvgを冗長化する場合にも、smitty上で[SystemStorageManagement]-[VolumeGroup]から設定します。注意点としては、冗長化に利用するディスクを、あらかじめrootvgに組み込んでおく必要があることです。詳細は、上述のサイトにある管理者マニュアルを参照してください。
論理ボリュームの拡張について
運用中に論理ボリュームが不足した場合には、smittyの[SystemStorageManagement]メニューからボリューム容量を拡張します。この操作は通常運用中に行えます。
システムダンプ領域
システムダンプ領域は、「sysdumpdev -l」コマンドで確認します。プライマリとセカンダリの2つを設定でき、デフォルトは/dev/lg_dumplvです。
システムダンプに必要な容量は、システムの使用状況により異なります。おおよその大きさは「sysdumpdev -e」コマンドで確認し、smittyによって適宜設定します。
rootvgのバックアップ
AIXではボリュームグループrootvgの内容をDAT装置などにバックアップを行い、システムクラッシュ時にはこのバックアップメディアからシステムをブートし、自動的にrootvgを復旧できます。
rootvgのバックアップは、smittyの[SystemStorageManagement]-[SystemBackupManager]から行います。この操作はマルチユーザーモードのままで行えます。
復旧作業の際には、DATテープなどのバックアップメディアを装置にセットした状態でシステムを起動すると、バックアップメディアから起動し、バックアップ時に保存されたファイルシステムの情報からrootvgを再構築します。なお、このときミラー構成などを含め復旧できます。
DDS/DAT装置のブロックサイズについて
AIXでは、DDS*/DAT装置のデフォルトのブロックサイズは固定の値が設定されています。このため、他社製OSでデータを保存したDDS/DATテープの内容を読み込もうとすると、リードエラーが発生する場合があります。
このブロックサイズは、テープ装置の属性として設定されているので、smitty上で[Device]-[TapeDrive]からブロックサイズの値を適宜変更します。ブロックサイズを可変長に設定する場合には0を入力します。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
このページで出てきた専門用語
DDS
DDSはDigital Data Storageの略称。デジタル録音用のDAT(Digital Audio Tape)を基にしたコンピュータ用の記憶装置。
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