NTTデータ、4-12月期は増収増益 通期は据え置くも「売上高で上ぶれの可能性あり」:採用は500人規模を継続
NTTデータの4-12月期は、販管費や原価率が増加したものの、連結子会社の拡大や運用ビジネスの拡大により増収増益だった。通期業績は、販管費の削減を掲げつつも、見極め段階として据え置いた。
NTTデータが2月3日に発表した2008年4-12月期の連結決算は増収増益となった。原価率や販管費が増加したものの、連結子会社や運用ビジネスの拡大がこれを吸収した。
売上高は前年同期比8.2%(602億円)増の7747億円、本業のもうけを示す営業利益は同3.0%(19億円)増の683億円、経常利益は同2.5%(16億円)増の673億円、純利益は同5.8%(22億円)減の361億円となった。
SI(システムインテグレーション)事業における通期の全体動向を分野別で見ると、一般事業法人向けの法人分野の利益が縮小する見込み。景気悪化が製造業のIT投資を鈍らせていることを要因に挙げ、「特に子会社で(投資抑制による利益減の)動きが出ている」(塩塚直人取締役財務部長)。
一方で、安心安全/ヘルスケア部門で拡大需要が見込まれる公共分野は「横ばい」、IT投資の冷え込みが予想される金融分野は「微減」になる見通し。中間期で発表した各分野の予測を踏襲する結果となった。
2009年3月期の業績予想は売上高が1兆1200億円、営業利益は1050億円、経常利益が1010億円、純利益が540億円と据え置いた。「(連結子会社の拡大などで)3Qで足踏みした販管費の削減がどれだけ進むかを見極めている」(塩塚氏)段階としつつも、「売上高は上ぶれ、営業利益は下ぶれの可能性もある」との見方を示した。
榎本隆副社長は「3Qは売り上げで8%、営業利益で3%の増加があり、増収増益を達成できた。景気の悪化に伴い(2008年)10月以降の受注が不鮮明だったが、これも前年を上回った」と述べ、厳しい環境下でも一定の手応えがあったことを説明。「今年度の着地まであと2カ月、鋭意努力をする」と通期の目標達成に向けて意気込んだ。
海外事業は順調に拡大
2008年、NTTデータはSI事業を手掛ける独itelligenceやBMWの情報システム子会社Cirquentの買収など、海外企業へのM&A(合併・買収)や資本提携で積極攻勢に出た。これが売上高の増加をけん引し、海外売上高も「(全体の)5%になる見込みで、昨年の約1.5%と比較しても収益を上げられるようになってきた」(榎本氏)。
円高による影響は避けられないとしながらも、「細分化された企業体を改善し、景気の変動にも柔軟に対応する体制を作る」と対案を提示。例として、公共分野の事業を手掛けていたグループ会社を統合したNTTデータアイに言及。同社では現在、統合前の人事給与や年金などの制度が複数同居している状態だという。「こうした状況を2年程度で見直す。将来起こりうる統合に対して、ファンダメンタルな部分から取り組んでいく」と述べ、足場固めに注力する意向を示した。
記者会見の質疑応答では、景気悪化の影響がNTTデータにどのような影響を及ぼすかについて、さまざまな角度から質問が飛び交った。厳しい情勢の中、採用活動を見直すのかという質問には、「人材はNTTデータのコアコンピタンス。景気に合わせて採用を増減させるのはよくない」(榎本氏)との見解を示し、今後も例年通りの500人規模を採用していく考えを明らかにした。
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