高性能を追求したフェラーリの新世代データセンター:F1での勝利を支える(2/2 ページ)
Ferrari(フェラーリ)は自社業務でデータセンターを利用するだけでなく、レーシング部門専用に最新鋭のハイパフォーマンスデータセンターを保有する。レースこそがFerrariの活力と情熱の源泉だからだ。このデータセンターは科学と技術的ノウハウとスピードへの情熱の真の融合といえるだろう。
F1 Data Centerに関するデータ
サーバラック
IBM、Sun Microsystems、Hewlett-Packardのサーバ、ZFS、Windows、AIXの各ファイルシステム、「Sun StorageTek」「IBM Bladecenter S」ストレージ、「HP ProLiant Data Protection Storage Server」などが混在。
電源管理装置
「Symmetra PX 80kW N+1」UPSシステムを2N(System+System)構成で利用。この構成はDual Feedとも呼ばれ、A側とB側の冗長構成となっている。これらのUPSシステムが数十台配備されている。
―― 「InfraStruXure Power Distribution」。これは構成済みの電源分配装置で、UPSからの電源を各ラックエンクロージャに分配する。ラックエンクロージャ内には「Metered Rack PDU」が備えられている。
―― 「NetShelter SX」ラックエンクロージャおよびAPCケーブル管理アクセサリ。
―― 「InRow Chilled Water」。これはAPCの第1世代のラック列冷却装置である。床上げ冷却方式よりもはるかに高密度のラック配置が可能で、エアフロー経路が短いので冷却効率にも優れる。
―― 中密度ゾーンでは開放型ラック列冷却方式を採用。
―― 高密度ゾーンでは高温通路を封鎖(内部温度は摂氏約80度)。
―― 最初の稼働開始以来、データセンターではIT機器を数回更新したほか、冷却能力と電源容量を拡大した。その間、データセンターを部分的に停止したのは一度だけである。
―― 冷却能力の拡大では、APCの新しいInRow RP Chilled Water冷却装置が追加された。これは、当初使用していたInRow FMよりもはるかに能力が高く、設置面積も少ない。電源関連では、欧州で販売されていた最新のUPS/電力分配システム「Symmetra PX 160kW」も追加された。このソリューションは、同じ設置面積で当初の「Symmetra PX80kW」と比べて2倍の電源容量を実現する。このシステムに含まれる「Modular Power Distribution」ユニットは、ラックへの電源分配用の新しい「Touch Safe」型・ホットプラグ対応ブレーカー/ケーブルシステムである。このシステムは最近、米国で発売されたが、欧州では以前から販売されている。
―― 高密度ゾーンにはHP製ブレードサーバを収容した数台のラックが置かれている。各ラックは20kWの電力を消費することもあるが、取材時にはMetered Rack PDUは1ラック当たりの消費電力が約16.5kWであることが示されていた。
フェラーリはラック列単位の冷却方式をいち早く採用した企業である。同社では高密度の負荷に対して安定的に電源供給と冷却を行ってきただけでなく、IT機器の更新と改良に合わせ、業務の中断を最小限にとどめながら電力容量と冷却能力を拡大することができた。それを可能にしたのは、標準化されたソリューションと優れた運用手順である。
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