狙われた“つぶやき”――Twitterに仕掛けられたワナ:ネットの逆流(16)(2/2 ページ)
Twitterのつぶやきが狙われた。しかし、これは氷山の一角かもしれない。それだけ拡大したTwitterは、これからどのような方向に進んでいくのだろうか。
Twitter疲れとTwitterのビジネスプラン
オルタナティブ・ブログのブロガー、松尾公也氏は、Twitterの現状について「コントロールができなくなり“mixi疲れ”みたいに“Twitter疲れ”が起きてきそう」だと指摘しているが、わたしも同感である。
そもそもTwitterのようなミニブログの利点は、従来のSNSなどと異なり、気になった人のつぶやきを「勝手に」フォローできることで、煩わしさから開放されたことだったはず。mixiなどのSNSでは、いわゆる「友達」といったような人間関係が強調されるが、Twitterにはそれがない。実際、フォローしてくれたユーザーをフォローしようとしてみても、中にはつぶやきを非公開にしているユーザーがいたりする。
あくまでも一方通行なのが、Twitterだ。それでいながら、フォローしている相手とチャットみたいに話したり、直接連絡したりできる。もちろん、嫌な相手からのフォローをブロックすることも可能だ。
つまり、mixiなど「友達」が強制されるものと比べると、気軽さが売りだったはずなのだが――いつの間にやら、フォローが膨大になり、情報洪水の中で必要なものが埋もれてしまったりする。さらに、「フォロー返し」という、本来必要のないものまで、義務に感じているユーザーも出ているようだ。自分がフォローされたからと言っても、別に相手をフォローする義務はない。もちろん、そこでつながりを作ることも可能なのだが、義務にしてしまうことによって、せっかく希薄にして気軽にしていたはずの、人間関係を強調することになり、Twitter疲れを加速してしまうのである。
さらに、わたしはまだそれほどフォローしていないが、その中にメディアを入れてしまうと、かなり頻繁にニュースが“つぶやき”として入ってきてしまう。最近は、ITmediaも含めて複数のメディアや、企業がTwitterに参入してきている。数十人をフォローしているにすぎないわたしでさえも多くの“つぶやき”が飛んでくるのだから、3桁以上フォローしているユーザーの場合はどうだろうかと考えるとゾッとする。結局、メディア系のフォローはやめてしまう人もいるようだ。
Twitterでつぶやける文字数は140文字にすぎない。しかし、大量のつぶやきが飛び込んでくる中での140文字というのは、意外と分量がある。実際、長文を複数に分けてつぶやいているユーザーもたまに見かける。ここまでくると、ミニブログであるTwitterではなく、普通にブログにアップしてはどうかと考えなくもないが、やはり気軽につぶやける場所は大切なのだろう。そして、メディアがつぶやくニュースも、見出しと概要、URLのみだったとしても、それなりの長さがある。
Twitterはこれからどのような方向に向かっていくべきなのだろうか。気軽なツールだったはずのTwitterも、これだけユーザーが急増し、さらにこれからも増え続けることが予想されていくと、Twitterを「利用」していこうとする企業も増えていく。実際、Twitterを活用するためのWebサービスやツールなどが登場しているし、先に述べたようにメディアもユーザーとして参入してきている。ブログの更新などを“つぶやき”として公開するケースも登場した。
しかし、Twitter自体は無料のWebサービスだ。ただ、無尽蔵にユーザーが増えていくことは、サーバの負荷などを考えても、何らかのビジネスプランを構築しないことには、早晩、行き詰まってしまうだろう。昨今の金融危機で、広告市場も低迷している。さらに、Twitter疲れも重なれば、Twitterの運営者も、利用者も共倒れという結果にもなりかねない。
Twitterが、犯罪の標的になるくらいの存在へと成長してきた現在、新たなステージへとステップアップするためにも、新たなビジネスプランの構築が必要となってきているのではないだろうか。Twitterの基盤を整え、そしてユーザーにもTwitter疲れを起こさせないようなシステム――フォローをただブロックするだけではない何か――の構築が、急がれているのだ。逆に言えば、そこに新たなビジネスとしての参入予知があるのかもしれない。
Twitter創設者ビズ・ストーン氏は、うわさとなっている他社による買収を否定した。Twitterが、あくまでも「収益を上げられる独立した企業」としていられるかどうか――Twitterにとっては、これからが正念場であるといえるだろう。1ユーザーとしても、注目していきたい。
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