ソフトウェア企業が「環境対応」を訴求する理由:SAPPHIRE 09 Orlando Report
SAPは、環境関連のソフトウェアを提供する企業を買収すると発表した。さまざまなソフトウェア企業がサステナビリティを強調し始めている。
SAP SAPPHIREに関する過去の記事はこちらです。
SAPは、環境関連のソフトウェアを提供するClear Standardsを買収すると発表した。ソフトウェアの提供により企業の環境などへの取り組みを支援し、事業の継続性をサポートする「サステナビリティ」に注力することを強調した。企業として本腰を据えることも表明した。
SAPの本社であるドイツは環境先進国として知られるものの、開催地である米国は京都議定書に調印していない唯一の先進国とも言われ、環境意識の低さを指摘されていた。最近になり、さまざまなソフトウェア企業がサステナビリティを強調し始めている。背景について、SAPのサステナビリティ担当バイスプレジデント、スコット・ボリック氏に話してもらった。
SAPがサステナビリティに取り組む理由は3つある。規制強化、資源不足、消費者の環境意識への高まりだ。企業によるコンプライアンスへの取り組みが叫ばれる中、二酸化炭素(CO2)の排出規制など法規制は世界中で強まった。発展途上国の人々が経済成長によって生活水準を引き上げていることで、水などの資源不足が懸念されている。カーボンフットプリントなどCO2への消費者の意識は高まるばかりだ。
こうした3つの要因により、企業は「善意」以上の意味合いを込めて、環境に取り組まなくてはならなくなってきた。
環境への意識が低いといわれた米国でも、変化が起き始めている。1つの理由として、元米副大統領のアル・ゴア氏による『不都合な真実』が、米国人の環境への意識を変えたことを挙げられる。オバマ大統領および対立候補だったマケイン氏がともに、気候変動について公約を掲げていたことも加わる。
さらに、法規制が強化されたときに、企業がCO2の排出状況などの記録の提出や監査が求められるようになると見込まれている。SAPとしては、こうした背景をビジネスチャンスともとらえており、今回の買収に踏み切った。ERPで従来から蓄積したデータとカーボンフットプリントなどの環境関連のデータを組み合わせて管理することで、環境会計など新たな視点を提供できる。
1つの企業として、SAP自身もサステナビリティに取り組む。われわれは、2020年のCO2排出量を50万トンだった2008年実績より50%少ない25万トンに削減する目標を立てた。これは大胆な数字だ。というのも、2008年の数字は2000年の2倍になっているからだ。
具体的な取り組みとして、カリフォルニア州パロアルトのオフィスを運営するための電力として、シャープの太陽光発電機器を採用する。また、飛行機を使った出張を減らし、テレビ会議を使って拠点同士がコミュニケーションするなどの施策を考えている。わたし自身の例でいえば、年間8〜10回あった出張を2、3回に減らすつもりだ。(談)
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