クラウドの真相:ITmedia リサーチインタラクティブ 第1回調査(2/2 ページ)
ITmedia エンタープライズとITRは「クラウドコンピューティング」関連の読者調査を7月に実施した。クラウドの認知度は9割を超え、実際の活用も進みつつある。その反面、セキュリティやサービスレベルに対する懸念は根強い。企業ユーザーが考えるクラウドの今をお伝えする。
不安は「データを外部におくこと」「サービス障害」
クラウドコンピューティング関連のサービスに対してつきまとうのが、データを外部に預けることに対するセキュリティやシステム障害が起こった場合の対応だ。実際、アンケート回答者の約4分の3がクラウドコンピューティングに対して「不安がある」と答えている。不安の要素は「社外サービスのセキュリティ・レベルが分からない」が72.6%となり、「外部にデータを預ける」といった種々の懸念点を25ポイント近く上回った。
システム障害によるサービスの不具合も重要な問題だ。最近ではGoogleやAmazonのサービスが一時的にダウンしてしまう事件が起こっており、クラウドコンピューティング関連の弱点が露呈している。だが「システム障害はあってはならない」と答えた企業は14.4%と少なく、「システム障害が発生することを見越してサービスを選択するべき」という回答が53.1%と半数以上を占めた。導入における心構えや準備を整えた上でサービスの導入を進めようとしている企業が多く、クラウドサービスに対する企業の理解が進んでいる様子が伺える。
仮想化技術やネットワークサービスの進化に伴い、クラウドコンピューティングは企業にじわじわと浸透し始めている。クラウド関連の市場規模は拡大の一途をたどり、企業におけるシステムの運用形態は「所有」から「利用」に変化していくだろう。
だがクラウドにとって、セキュリティやサービスレベルなど乗り越えるべき課題は多い。クラウドコンピューティングへの認知度が高まり、活用時に注意すべきポイントへの理解が広まる中で、企業はクラウドコンピューティングを活用したシステムの構築や運用について真剣に考え始める時が来ている。
企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック
今のITトレンドをテーマにした読者アンケートを実施し、分析記事を公開するコーナー「ITmedia リサーチインタラクティブ」では、今後も企業向けのトピックを追いかけていきます。
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