MSとの緊密ぶりを強調したNECの思惑:ニュース解説 NECとMSの協業進展
Windows Server 2008 R2の仮想化環境向けサービスでの協業を発表したNECとマイクロソフト。発表会見では、あらためて両社の関係の緊密ぶりがうかがえた。
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NECとマイクロソフトが9月8日、Windows Server 2008 R2とExpress5800シリーズサーバを組み合わせた仮想化環境向けのソリューションで提携し、新サービスや共同マーケティングを展開すると発表した。(ニュース記事参照)
今回の協業内容は、両社が7月2日に発表したソリューション事業での協業拡大に基づくもので、その柱の1つである仮想化ソリューション領域での具体的な成果となる。(関連記事参照)
発表会見は、マイクロソフトが9月8日に開いたWindows Server 2008 R2仮想化戦略説明会の一環として行われた。
NECはその席で、10月よりWindows Server 2008 R2に対応したExpressシリーズ製品を投入すると発表。同社サーバ・ワークステーション事業本部の庄司信一事業本部長は、「Expressシリーズはデータセンター向けとオフィス向けに対応した製品ラインがあるが、それらすべての製品をWindows Server 2008 R2に対応させる」との意気込みを示した。
興味深かったのは、庄司事業本部長が今回の協業内容における説明に先立ち、マイクロソフトとのこれまでの関係の緊密ぶりを強調したことだ。
「NECはこれまで長い期間にわたって、マイクロソフトと力強い協業を行ってきた。特にOSの開発に当たっては、米マイクロソフト本社のすぐ近くにNECの研究施設を設け、常時20人以上のエンジニアを常駐させて技術協力を行ってきた」
今回のWindows Server 2008 R2の開発においても、「省電力や効率性を追求するための新しい仕様を提案したり、最新の仮想化機能の検証を共同で行ってきた」と語った。
さらに、1979年のPCの共同開発に始まる両社協業の歩みをひもとき、「PCからサーバ、ソフトウェア、SIソリューション領域に至るまで長年にわたって緊密に協力し、Windowsプラットフォームを強化してきた」と説明。「そうした協業を基に、ExpressシリーズはPCサーバ分野で13年連続国内シェアナンバーワンという実績を上げさせていただいている」と振り返った。
そして最後に、「NECは、ナンバーワンブランドのExpress5800シリーズとWindows Server 2008 R2の最強の組み合わせでマイクロソフトとの協業を進め、さらなる進化を遂げていきたい」と決意のほどを語った。
競合がひしめくPCサーバ市場では今後、Windows Server 2008 R2とWindows 7によるシステム販売が主戦場となるのは必至。マイクロソフトとの長年の緊密ぶりを強調することで、Express5800シリーズのさらなる拡販につなげたいというNECの思惑がひしひしと伝わってくる発表会見だった。
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