Twitterの未来を占う事件が起こった9月前半:Twitter定点観測(3/3 ページ)
9月前半は華々しい出来事は少なかったものの、Twitterの将来を占う上で幾つかの重要な事件があった。今回は利用規約の変更、日本版Twitter公式ガイドの開設、スパム判定をめぐる騒動という3つのトピックを取り上げる。
スパム判定をめぐる騒動
アイティメディアが運営する専門家ブログサイト「オルタナティブ・ブログ」で、9月9日にChris Ding氏が投稿した1つの記事が注目を集めた。それは「私のTwitterアカウント(@omowaku)が停止された件」という記事だ。彼のアカウントがスパムの疑いをかけられ、一時的に利用ができなくなったいきさつが語られている(現在は疑いが晴れ、復旧している)。
Twitterは、以前から「スパム判定基準」を公開しているが、9月10日のユーザー利用規約改定により、正式にその基準が規約の一部として採用されている(詳細は“The Twitter Rules ”のWebページで閲覧できる)。しかしChris氏も指摘しているように、この規定は英語版しか公開されておらず、このほどTweeter.jpの記事でようやく掲載された。ところが9月16日には、そのTweeter.jpの公式アカウントにおいても、日本語版の紹介が停止されてしまっている。
こうしたアカウント停止の判断のすべてが悪いというわけではない。本来の目的である「スパム防止」に役立っているのも事実だ。だが、メッセージの投稿においてどこまでが通常の宣伝行為で、どこからがスパム行為かという線引きをするのは難しい。ある程度グレーゾーンで問題が出てくるのは仕方ないだろう。ただ最近の例を見ると、新しく参加してきたユーザーが「まずはフォローしてみよう」と大量にフォローをしてしまい、訳も分からないままアカウントを停止されるというケースも出てきている。
Twitterがスパムの判定基準を設け、それを外部に公開している点は評価すべきだ。しかし、英語の利用規約に目を通し、スパムと判定される要素を把握してからTwitterを始める人は、特に日本では少ないはずだ(日本語の規約からは、前述の”The Twitter Rules”へのリンクが張られておらず、この規定に気付いていないユーザーも多い)。「紛らわしい行為をしてスパムと判定されても自己責任である」という考え方もあるが、悪意のないユーザーを混乱させない施策が必要だろう。
今後、新しくTwitterに参加するユーザーが増えれば、既存ユーザーの振る舞いを見て、新規ユーザーが自然にルールを学ぶという“Twitter特有の文化”が薄まる可能性は高い。その時Twitterの運営側がどのような対策を講じるのかは、Twitterがコミュニティーとして成長していく上でも重要になってくる。
国内のTwitterのユーザーは拡大の一途をたどっている。それをプラスの力に転化できるかは、上述したサービスの利用規約や関連サービス、運営側の施策にかかってくる。9月前半は華々しい出来事は少なかったものの、Twitterの将来を占う上で幾つかの重要な事件があったといえるだろう。
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著者プロフィール:小林啓倫(こばやしあきひと)
日立コンサルティング シニアコンサルタント。1973年2月26日生まれ。東京都出身。筑波大学大学院(地域研究研究科)修了。国内のシステムインテグレーターでERPコンサルタントとしてキャリアを積んだ後、米マサチューセッツ州のBabson Collegeでアントレプレナーシップを学び、MBAを取得。外資系コンサルティング会社、ベンチャー企業を経て、2005年に日立コンサルティングに入社。「シロクマ日報」「POLAR BEAR BLOG」など、複数のブログを執筆するブロガーでもある。Twitterのアカウントは「@akihito」。URLは「http://twitter.com/akihito」
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