心のつかみ方――説得せずに周りを巻き込む:ビジネスマンの不死身力(2/2 ページ)
新規プロジェクトを立ち上げても、意欲的な参加者が集まらない……。こうした失敗を回避し、周りの人を巻き込んでいくための「心のつかみ方」を考えてみよう。
初めて連絡をくれたIさんとのやりとり
Iさんから来た電子メールの内容は「まことに申し訳ありませんが、都合がつかず、参加することができません」というものだった。敬語が使われており、緊張感が漂ってくる文面だった。連絡をいただくことだけでも大きな進歩であり、わたしは単純にうれしさを噛みしめた。返信してくれたことに対する感謝やねぎらいの意を込めて、このような返事を出した。
「竹内です。連絡どうもありがとう。連絡をもらえて嬉しかったです。初めてのメールで送りにくかったんじゃないですか?(^^)。参加できない件、了解です。断るのは気を使いますよね。どうぞ気にしないでください。時間が出来たら是非参加してください。お待ちしています」
すると、Iさんから絵文字の入った返信が届いた。最初にいただいたメールとは一変した緊張感がやわらいだ文面で、今回は参加できないということを真摯に伝えてくれた。こうしたやり取りができたことで、今後も積極的にIさんとの関係を作ってくための土台が整備できた。
説得されてうれしい人はいない
この事例が示すものは、「説得されてうれしい人はいない」ということだ。もしあなたがプロジェクトや案件を率いるリーダーなら、いかにメンバーの心をつかみ、心理的な負荷を取り除くかを考えてみてほしい。相手が今何を心配しているかを考え、相手と感情的なつながりを持つことが、直面している問題を解決するためのコツになる。伝える側にとっても、説得するという行為は嫌なものである。相手を萎縮させる伝え方をするのではなく、「これならやってみてもいい」と思ってもらえるように、伝える言葉を工夫することを心掛けたい。
今回紹介した秋祭りの事例は、ほんのささいな改善にすぎない。だがこうした小さな改善を積み重ねていくことが、あなたの組織をより活発にしていくための最終的な解決策なのだ。
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著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)
テイクウェーブ代表。自動車メーカー、コンピュータ会社を経て、現在は、経営者・起業家・リーダー層を中心としたビジネスコーチング、人材教育に従事。システムエンジニア時代には、プロジェクトマネジメントにコーチングや神経言語学を生かし、組織活性化を実現。この経験を生かして、クライアントの夢が現実になるよう、コーチングの現場で日々奮闘している。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。
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