1億のユーザーを持つセキュリティ製品、独Aviraが日本語版をリリース
Aviraは、個人向け無償セキュリティ製品「AntiVir Personal」など3製品の日本語版を正式リリースした。国内市場で長期的にビジネスを展開すると表明している。
ドイツのAviraは12月1日、個人向け無償セキュリティ製品「AntiVir Personal」など3製品の日本語版を正式リリースした。国内市場での事業展開についても説明した。
同社は1986年に創業し、PCやサーバ、ゲートウェイなどのマルウェア対策を手掛けるセキュリティベンダー。AntiVir Personalは無償ウイルス対策製品の草分け的な存在として1990年にリリースされ、約1億以上のユーザーを持つという。企業ユーザーは約2万社で、PCおよびUNIX系システムの保護に利用されている。
AntiVir Personalはウイルス対策に特化し、1日当たり6〜8回という定義ファイルの配信と、ウイルス特有の挙動を検出して実行を阻止するヒューリスティック技術が特徴になる。さらに上位版として、メールおよびWebセキュリティ対策とPCの復旧機能を搭載した「AntiVir Premium」、アンチスパムやパーソナルファイアウォール機能などを搭載した「Premium Security Suite」を有償提供する。
同社では「Freemium」(FreeとPremiumの造語)というビジネスモデルを展開する。無償版の機能を評価したユーザーが、高度なセキュリティ対策や電話サポートなどを受けられる有償版に乗り換える流れを作ることで、収益につなげる仕組みだ。
創業者兼CEOのチャーク・アウアーバッハ氏は、「日本にも約75万の英語版ユーザーがおり、日本語版への期待を受けてリリースを決めた」と進出理由を述べた。
同社では11月に日本法人を設立済みで、国内でのマーケティングやサポートを担当。企業向けには、プロマークが2004年からAviraのウイルス検出エンジンを利用したサーバ向けのセキュリティ製品などを展開しており、現在までに官公庁や金融機関など1000近い組織が導入している。同社の勝田恵三社長は、「特にメインフレームにおけるウイルス対策には定評があり、今後も基幹システムを対象に展開していく」と説明した。
製品特徴についてAviraのシュテファン・シッファート最高技術責任者は、「すべてを自社開発している。新機能を追加してもPCのパフォーマンスに当たる影響を製品全体で吸収できる柔軟性があり、強固なウイルス対策とPCの操作性を両立できる」と述べた。最新バージョンでは、前バージョンに比べてスキャン時間を2割改善した。また、近年のマルウェアがOSやウイルス対策ソフトの更新を無効にするなどの機能を持つようになり、Aviraではマルウェアによるシステム設定の改変を防ぐ「セルフディフェンス」機能を搭載している。
今後は国内でのサポート担当技術者を拡充するほか、2010年以降にアジア地域でウイルス解析と製品開発の拠点も開設する方針を明らかにした。アウアーバッハ氏は、「日本にあるすべてのPCで利用されることを目標に長期にわたって事業展開したい」と抱負を述べている。
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