グローバルクラウドに潜む法的課題:世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(3/3 ページ)
テクノロジーの進化がクラウドを普及させた。それに伴い、世界規模で越境する情報をどう管理するか、集積した情報を誰がどう利用するかといった論点が浮上している。クラウド型サービスの活用で課題となる法的・政策的課題を考える。
図3は、クラウド型サービスに関するデータ保護において、法的問題になり得る点をまとめたものだ。各国はここで挙げた要素に基づき、各国の法律や契約の適用を検討する必要がある。具体的には
- サービスプロバイダーと企業の利用契約の内容と準拠法で決せられる場合(1、2)
- 情報の移動に条件が課せられる場合(1、6)
- サービスプロバイダーとデータセンターの業務委託先との契約の準拠法や業務委託先の所在国の法律が問題となる場合(2、3)
- 侵害者の所在場所と侵害行為地が問題となる場合(2、3、4、5)
- サービスプロバイダーやデータの所在地、国際紛争の場合に問題となる場合(7、8)
などが考えられる。
現地時間の12月17日、非営利団体のCloud Security Allianceは「Security Guidance for Critical Areas of Focus in Cloud Computing」と呼ぶクラウドコンピューティング関連のガイドラインの第2版を発表した。法的な問題を扱った項目では、企業にとって準拠法を選択するためには、データの保管場所を知ることが重要という指摘がなされている。
グローバル展開においてクラウド型サービスを活用するには、こうした法的な問題点を克服していくことが不可欠だ。次回は日本法との比較、各国での議論や事例、各社契約の比較検討などのテーマを解説する。
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著者プロフィール 水越尚子(みずこし なおこ)
2010年3月1日にエンデバー法律事務所を設立。日本およびカリフォルニア州の弁護士資格を有し、IT企業での社内弁護士の経験を生かして、情報通信、セキュリティ、知的財産権、国際取引を専門に、企業法務に関するアドバイスを行う。一橋大学卒業。
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