日本流と現地流の調和をどう生み出すか――ソフトブレーン・駒木専務:世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(3/3 ページ)
オフショア開発などで古くから中国進出に進出するソフトブレーンは、事業が軌道に乗るまでに人材面や社会環境の変化などのさまざまな課題に直面したという。それをどのように乗り越えて事業基盤を築いたのか、同社に聞いた。
中国進出から学ぶこと
―― オフショア開発ではインドなどにも関心が高まっています。中国以外に展開する計画はありますか。
駒木 ここ数年間は引き続き中国に注力していく計画です。青島は日本から飛行機でも2時間半程度で来られるなど利便性が高く、顧客企業とのつながりを密にできますが、インドへは1日がかりの移動になってしまいます。最近では天津もITの拠点として注目されており、まだ中国沿岸部でも進出するチャンスのある都市が幾つかあります。
また、中国は漢字の文化圏というメリットもあります。学生でも日本文のメールを見て想像だけで7割ぐらいは理解できるようですね。特に業務アプリケーションのような文化や慣習を考慮しなければならないソフトの開発には向いているでしょう。
例えば会計や人事では日本と中国で似ているところがあり、異なる部分もあります。異なる部分については、プロジェクトの初期に現地マネージャーが同席して日本の顧客先で打ち合わせをします。開発に着手する段階で用語集や研修を行って、日本と中国で異なる意味などを担当者に理解してもらいますが、一度学習するだけで次からは正確に言葉の意味を理解しながら業務に当たってくれます。
今後はWebアプリケーションがますます増えていくと思いますが、汎用性のあるWebアプリケーションはメインフレーム向けのアプリケーションに比べてドキュメントの点数が少ないのが特徴です。そのためにも文化や慣習の差異を吸収しやすい環境は重要です。
―― 今後中国への進出を考える上で考慮すべきことはありますか。
駒木 海外進出する目的には、製造拠点もしくは販売先としての市場性、その両方という大きく3つがあると思います。いずれの場合でも大切なのは、目的が何であり、その目的を達成するための方法にどのようなものがあるかを詳細に検討することではないでしょうか。
製造拠点としての場合は、地方都市に進出することが多いと思いますので、現地へどれくらいの日系企業が進出しているかが1つのポイントになります。現地では日系各社でお互いに協力し合うことも多いでしょう。
しかし販売先としてみた場合は、既に大都市では現地企業を含めた厳しい市場競争が行われているために、成功するにはよほど綿密な戦略を展開しなければなりません。大都市を避けて地方市場を狙うとすれば、現地企業と密接なパートナー関係を構築しなければ成功は難しいでしょう。
ソフトブレーンでは、従来の北京と上海の2拠点を中心にeセールスマネージャーの中国語版を販売しています。主要顧客は現地に進出している日系企業が中心ですが、中国企業にもパッケージソフトを活用する動きが少しずつ広がっており、今後はさらなる販売拡大に期待しているところです。
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