日本のSaaS市場、年平均11.7%で成長――ガートナー
ガートナージャパンによると、日本のSaaS市場は年平均11.7%で成長し、2013年には427億円に達する見通しだという。これをけん引するのは、メール/グループウェアとCRMだ。
ガートナージャパンは5月20日、国内のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)市場規模の予測を発表した。
同社によると、SaaS市場は2010年から2013年にかけて年平均11.7%で成長し、2013年には427億円に達する見通し。国内のITサービス市場が、2013年までの年平均成長率で1%未満と低い水準にとどまる見込みであることを考慮すると、2けた成長が見込まれるSaaS市場はITサービスベンダーにとって成長の果実といえる。
同市場の成長をけん引するのは、メール/グループウェアとCRM。特にCRMではSalesforce.comが存在感を放っている。オンデマンド型のCRMを提供する同社が2009年に初めてCRM市場全体でシェアトップを獲得したのは、メールやグループウェアといったメッセージングだけでなく、CRMの主戦場もパッケージ型からSaaSに移行したことを示すものである。「Oracle CRM On Demand」を提供するOracleに代表されるように、これまでパッケージ型のCRMを提供してきたベンダーもユーザーニーズに応える形でCRMをSaaSで提供する姿勢を相次いで打ち出しており、CRM市場におけるSaaSの割合は当面上昇し続けるだろう。
このほかのエンタープライズアプリケーション、例えばERPも中長期的にはSaaS型が選択される可能性はあるが、財務会計や購買管理といった基幹系のデータを社外に置くことに対するユーザーの抵抗感を上回る価値をベンダーが提案できるようになるまでには、まだ時間が必要だろう。SAPの「Business By Design」などにみられるように、すべてをSaaS化するのではなく、機能をモジュール化し、徐々にSaaS化するのが現実的なシナリオと考えられる。よって、ERPやSCMのSaaSがベンダーから提供され、さらにそれが企業に受け入れられるようになるまでには、今後数年を要するとみられる。
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