新しいスキルを抵抗感なく職場に導入する方法:ビジネスマンの不死身力(2/2 ページ)
現場を円滑にするために新しいスキルを披露しても、周囲に受け入れられないことはよくあります。学んだスキルを失敗なく伝えるためには、「現状を肯定する」「小出しにする」「専門用語を使わない」といった工夫を心掛けてみるといいでしょう。
新しいスキルの伝え方
新しいスキルを職場に広げるこつは幾つかあります。今回はすぐに実践できるポイントを3つに絞って紹介しましょう。
現状を肯定する
まずは、既存の方法をひとまず肯定してみましょう。
新しいスキルにほれ込むと、「新しいスキルの方が効率が良くなるのに」と考え、今までの職場で活用してきたスキルを否定しがちになります。しかし、新たなスキルを紹介された人からすれば、自分たちがやってきたことが認められていないという気持ちになり、反感を抱きやすいものです。現状を肯定することは、相手の抵抗感を減らすことにつながるのです。
新たなスキルを紹介する場合は、現状を肯定した上で、「今までの方法もいいですが、もし うまくいっていなかったら、こんな方法もありますよ。試しにやってみませんか?」というように、選択肢を増やす程度に伝えてみるといいでしょう。
小出しにする
今までのやり方を一気に変えようとすると、メンバーも対応しにくいものです。この場合は、スキルを小出しにするのもいい方法です。
会議にファシリテーションのスキルを取り入れたいなら、「意見をまとめるためにホワイトボードに書いておきますね」と提案したり、「○○さんはどういう意見を持っていますか」と参加者に軽く声を掛け、意見が出やすい環境を作ったりすることから始めてみるといいでしょう。ポイントは、今までの手法を少しずつ変えていくという意識を持つことです。
この姿勢を継続すると、「○○さん進行の会議はまとまるね」といった意見が次第に出てくるようになります。ここまでくれば、これまでと異なる会議の進み方を経験しているメンバーは、新しいスキルにも抵抗感を感じにくくなっているでしょう。
専門用語を使わない
横文字の専門用語は、新しいスキルになじみがない人にとって大きな抵抗感になります。特に必要がない場合は、専門用語を使わないのも1つの手です。
例えば会議で活発な議論をしようと考えた場合、ファシリテーションという手法は確かに有効です。ですが、ファシリテーションという言葉自体を知っているかどうかは問題ではありません。それならば、こうした専門用語をあえて使う必要はないのです。
学んだファシリテーションの技法を会議に取り入れてみる。そして「○○さんは会議の進行が上手ですね。何か勉強なさっているのですか」と聞かれた場合に、「実はファシリテーションという会議術を勉強しているのです」と述べ、言葉の意味を伝えればいいのです。
今回はファシリテーションのスキルを例に、周囲に抵抗感を与えることなく、新しいスキルを職場に導入するための伝え方をお知らせしました。貴重な時間とお金を投資してあなたが身に付けたスキル。これを抵抗なく周囲に受け入れてもらうために、伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)
テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。
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