10月、贅沢なひとときを「高専カンファレンス」で
10月に東京で開催される高専カンファレンスは、「アンカンファレンス」と「Lightning Talks」の二本立てで、来場者を魅了するだろう。IT業界の人だけでなく、万人にお勧めしたいカンファレンスだ。
高専カンファレンス実行委員会は、2010年10月2日に都立産業技術高等専門学校荒川キャンパスで、「高専カンファレンス2010秋 in 東京」を開催することを明らかにした。
高専カンファレンスは、現役高専生・OBが中心となって運営する勉強会で、2008年6月に第1回が開催された。今回の高専カンファレンスは17回目となる。初期のころは東京で開催されることも多かったが、地方での開催に積極的な姿勢を見せており、最近ではほぼ毎月のように日本のどこかで高専カンファレンスが開催されてきた。
秋に東京で開催される高専カンファレンスは規模の大きなものとなる。昨年の「高専カンファレンス 2009秋 in 東京」では、産業技術高専の学生たちが作成し、H-IIAロケット15号機に相乗りで搭載されたピギーバック衛星「KKS-1」(Kouku-Kousen-Satellite-1)、通称「輝汐(きせき)」の開発秘話や、DNAに第3の人工塩基対を組み込み、DNAを“4ビットのコンピューター”から“6ビットのコンピューター”にすることで、進化の可能性を模索する理化学研究所の平尾一郎氏による講演など、見どころが満載だった。その様子は、「高専カンファレンス、人気の理由は“ワクワク”」で紹介している。
「高専カンファレンス2010秋 in 東京」で注目なのは、「アンカンファレンス」と「Lightning Talks」というセッション形式で全体が構成されることだ。
Lightning Talks(LT)はすでに一般的になりつつあるが、アンカンファレンスについてはまだあまり知られていないかもしれない。海外のイベントなどでは、BOF(birds of a feather)と呼ばれる勉強会に近いセッション形式がよく実施されるが、アンカンファレンスは、「事前に発表者や講演内容を決めず、当日参加した人が自分の話したい内容を発表する」というきわめて緩やかなセッション方式だ。アンカンファレンスについては、“IT戦士”amachangがまとめたブログエントリ「ITアンカンファレンスをやってみたい!」が詳しい。
講演などのセッション形式ではなく、こうした形式を採用したのは、これまで高専カンファレンスを開催してきて、「発表したい」という声が多数寄せられたことが大きい。また、多人数の参加者同士がどう交流するかという課題もあり、「大規模開催」と「参加者間の相互作用の増大」の両立を目指した末のことだ。
高専カンファレンスはITだけでなく、工業デザイン、経営、物理、化学など多様性に富む発表が特徴だが、アンカンファレンスという形でそれを吸収しようとしている。なお、高専カンファレンス2010秋 in 東京でのアンカンファレンスは、15分の発表枠を5トラック×8枠、計40枠を用意するという。
アンカンファレンス形式を採用していることで、事前にどのような発表があるか分からないため、参加をためらう人もいるかもしれない。しかし、高専カンファレンスは毎回期待を裏切らないことを記者は知っている。IT業界の人だけでなく、万人にお勧めしたいカンファレンスだ。
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