全世界7万以上のラジオ局を網羅するプラットフォーム 米TuneInの狙い
自分の好みに合わせて、世界各国のインターネットラジオ放送をいつでも、どこでも自由に聴ける――。そんなサービスを提供しているのが、TuneInという米国ベンチャー企業だ。
世界中のインターネットラジオ放送を1つのプラットフォームに統合し、ユーザーの趣味・嗜好に合わせた配信サービスを提供しているのが、米国・カリフォルニア州パロアルトに本社を構える米TuneInだ。
2002年に創業した同社は、インターネットラジオ番組のサーチエンジンサービスを核に事業をスタート。社名と同じインターネットラジオ配信プラットフォーム「TuneIn」では、ラジオ放送局の特色に応じて、大きく音楽やスポーツ、ニュースなどにカテゴリを分類し、そこからさらに細分化してリスト化している。例えば、音楽→ジャズ→スムースジャズといった具合にユーザーはドリルダウンして検索できる。現在、7万以上のインターネットラジオ放送局がデータベースに登録されており、ユーザー数は230カ国、4300万人を超える。
2011年には、ユーザー数拡大の施策として、スマートフォン/タブレット端末向けにアプリを開発、リリース。iOSおよびAndroidに対応し、日本語を含む22カ国語に翻訳されている。
TuneInのビジネスモデルは広告がメインであるため、以前からユーザーの分析には注力してきた。自社開発の分析ツール「TuneIn Amplifier」は、ユーザーのデバイスID、GPS、アクセスした放送局などの単位でデータを取得し、誰がどこで何の番組を聴いているのかをデータで可視化できる。いずれは時間軸も指標に入れて、ユーザー行動パターンの把握をより深化させたいとする。
これとともにADサーバの開発を進める。例えば、普段は米国に住むユーザーが出張でドイツに訪れたとき、TuneInにアクセスしている位置情報を読み取り、その地域の広告を配信するようにするという。
そうした同社が今、ビジネス開拓市場として注目するのが日本だ。2014年に東京支社の設立を予定するなど、担当者の鼻息は荒い。日本でのユーザー数は85万人だが、「数年のうちに500万ユーザーまで伸ばしていきたい」と、アジア太平洋地域でビジネス開発ディレクターを務める信川訓卓氏は意気込む。
既に新たなユーザー獲得のための動きも見られる。楽天野球団は楽天イーグルスファンに向けた自主ラジオ放送「EAGLESTATION」を9月に開設していたが、10月2日にTuneInのプラットフォームに登録。プロ野球のポストシーズン試合「クライマックスシリーズ」を間近に控えていたことも相まって、数日間でユーザー数が数倍に膨れ上がったという。信川氏は「こうした実績を数多く作り、ユーザーやラジオ局、さらにはスポンサーにアピールしていく」と強調した。
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