世界をビッグデータで変えられるのか?:IBM Information On Demand 2013 Report(2/2 ページ)
1万人を超える参加者がラスベガスに集結。米IBMの年次カンファレンス「IBM Information On Demand 2013」が開幕した。
ビッグデータで顧客と深い関係を
続いてステージに登壇したのは、米IBM ミドルウェア部門のシニアバイスプレジデントを務めるロバート・ルブラン氏だ。
ルブラン氏は、ビッグデータとアナリティクスはビジネス変革のための大きな要素となるが、世の中にはまだ生かされていないデータが無数に存在し、氷山の一角しか見ていないという。例えば、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアから発せられるデータがそれだ。「こうしたデータを解析して、そこから顧客を洞察することで、深い関係を構築できる。ビジネスを変えられるチャンスだ」とルブラン氏は強調する。
また、IBMがビッグデータの特徴とする4つのV(Volume:容量、Variety:種類、Velocity:スピード、Veracity:正確さ)を改めて挙げ、構造化、非構造化、過去、現在、未来などあらゆるデータを活用して、顧客を理解すべきだと説く。
その実践例として、ルブラン氏はいくつかのユーザー企業を紹介。消費財や酒類などのサプライチェーン管理ツールを提供する米Aperityは、顧客データなどのトレンドを分析することで、売り上げ予測精度を95%向上させた。フィンランドの製パン会社であるVaasanは、商品が売り切れて在庫がなくなるという事態を引き起こさないために、イベントと顧客の購買行動データを結び付けて、適切なタイミングで商品を出荷することに成功。デリバリー目標を98.5%も改善した。
より具体的なユーザー事例を示すべく、保険会社・米Nationwideのバイスプレジデントでカスタマーアナリティクスを担当するウェス・ハント氏が登場した。同社は「Nationwide On Your Side」というフレーズのテレビコマーシャルが米国ではよく知られているが、顧客第一主義をすべてのタッチポイントで一貫しているという。
そのためのシステム基盤として導入しているのが、IBMのInformation Management製品群である。統計解析ソフトウェア「IBM SPSS」、マスターデータ管理(MDM)製品、データベースセキュリティ「InfoSphere Guardium」などを採用し、27個のフロントエンドシステムを統合したという。システム導入に際して、「ビッグデータがあっても、アナリティクスを一緒にやらなければ駄目で、逆もまた然り。両方あって初めて成果が出ることが分かった」とハント氏は話す。そうした中で幅広いソリューションを提示してくれたのがIBMだったという。
基盤を整備した結果、売り上げアップとシステムのコスト削減を達成したほか、各種分析データを基に顧客を360度あらゆる視点から理解できるようになったという。
「変化に対応できる強いデータ基盤を作ることが成功の秘けつ。ビッグデータとアナリティクスは企業戦略ではなく、戦略のイネーブラー(推進者)だ」(ハント氏)
なお、IBMが同日に発表した主な新製品は以下の通り。詳しい内容はそのほかのセッションなどで紹介される予定だ。
- IBM BLU Acceleration for Cloud プレビュー版 高速分析処理エンジン「BLU Acceleration」とインメモリデータベース、BI製品「Cognos」の機能をクラウドサービスとして提供。
- IBM PureData System for Hadoop IBM InfoSphere BigInsightsによるHadoopベースのソフトウェア、サーバ、ストレージを単一で管理が容易なシステムにまとめた垂直統合システム。
- InfoSphere Data Explorer
- SmartCloud Virtual Storage Center
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