沖縄にBPO拠点を開設 コア業務向けサービスに注力 NTTデータ:担当役員に聞く
今夏にNTTデータが新たなBPOセンターを沖縄県うるま市に開設する。顧客企業の情報システムのサポートなどコア業務のBPOサービスに力を入れる。
2013年にグループ3社を経営統合してトータルアウトソーシングサービスの新会社であるNTTデータ・スマートソーシングを立ち上げるなど、BPO事業に一層の力を注ぐNTTデータ。従来から手掛けてきたコールセンターなどのカスタマーケア業務に加えて、顧客に納入する情報システムをサポートするコア業務まで領域を広げる。
特に2014年度はコア業務のBPOサービスを徹底的に伸ばしていく考えだ。そうした中で今年8月には、コア業務に特化した新たなBPOセンターを沖縄県うるま市のIT産業集積地域「沖縄IT津梁パーク」に開設する。国内では、東京、名古屋、青森、石巻に続き5拠点目で、同社では最大規模のセンターになるという。
まずはスタッフ約200人で事業をスタートするが、2016年度には400人規模にまで増やす予定だ。NTTデータのBPO事業を統括する、執行役員 ソリューション&テクノロジーカンパニー ビジネスソリューション事業本部長の笹田和宏氏は「大きな案件を受注すれば200人単位で人材は必要となる。決してアグレッシブな目標ではない。早期に達成したい」と鼻息は荒い。BPO事業全体としても3年間で売り上げの倍増を目指す。
沖縄は人材確保や事業拡大にメリット
NTTデータがこのたびBPOセンターの拠点として沖縄を選んだ理由は何か。新たな拠点を立ち上げるにあたり、約1年間かけて全国のいくつかの場所を検討した。選定の条件として、人件費を抑制できること、人材確保しやすいこと、今後の拡張も考えてまとまったスペースが確保できることなどを掲げていた。特に今回は、顧客の要望を考えると納期が厳しい状況だったため、できるだけ早く拠点を立ち上げたいという思いがあったのだという。
そうした中、決め手となったのは、沖縄IT津梁パークでは沖縄県が建物(現在建設中の企業集積施設第2号棟)を用意して、NTTデータが賃貸契約で入居するというスキームだったため、自ら社屋を建てる必要がなく初期投資を抑えることができた点だ。また、沖縄では以前から他社のコンタクトセンターやBPOセンターが事業を行っている土地柄から、経験ある人材を獲得しやすいという利点もあった。「県や市も雇用創出を図りたいという思いがあるので、人材確保の支援にも前向きである」と笹田氏は沖縄を選んだ理由を話す。
さらに、ビジネス成長に合わせてBPOセンターを増床、増築する上で、沖縄IT津梁パーク内にはまだ有効活用できる空きスペースがあることも大きかったという。「社屋がバラバラに離れていると、どうしてもマネジメントコストがかかってしまう。コア業務のBPOセンターを沖縄に集約するためにも沖縄IT津梁パークは好条件だった」と笹田氏は力を込める。
先にも触れたように、沖縄では既に各社がBPOビジネスを展開している。他社との差別化はどこにあるのか。NTTデータでは、独自の方法論を確立し、企業を支える業務システムのサポートを効率的かつ高品質で行うことを強みにしていく。
「例えば、他社と比べて時間を短縮するが品質は落とさないなど、IT企業としてのノウハウを注入し、パフォーマンスの高いBPOビジネスを提供したい」(笹田氏)
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