HPのサーバ、ストレージ、クラウド幹部に聞くITインフラ戦略:HP World Tour Report(2/2 ページ)
サーバのコモディティ化などを背景にハードウェアビジネスを縮小させるITベンダーが相次ぐ中、米HPはむしろこれを好機ととらえているようだ。同社のサーバ、ストレージ、クラウドの各担当幹部にITインフラの方向性など聞く。
Gバイト2ドル未満のオールフラッシュ
ストレージでは日本で2013年7月に発売されたオールフラッシュモデル「HP 3PAR StoreServ 7450」の機能強化や、1.92テラバイトの「eMLCドライブ」などが発表された。HPストレージ担当主席テクノロジストのポール・ハーバーフィールド氏は、「従来のオールフラッシュは高くて用途が限られた。これをHDD並みに引き下げ、可用性を高めて適用可能なアプリケーションを拡大させる」と説明する。
StoreServ 7450の機能強化では10月から提供する「HP 3PAR Thin Deduplication」と「HP 3PAR Thin Clonesソフトウェア」などの圧縮技術を利用して、物理的な容量を最大460テラバイト、使用可能な容量を1.3ペタバイトにまで拡張するという。新たなeMLCドライブ(価格未定)は3PAR圧縮技術と併用することで、ストレージコストをGバイトあたり2ドル未満に引き下げる。
また、ミッションクリティカルアプリケーションでオールフラッシュストレージの導入する場合に、99.9999%のデータ可用性を保証するという「HP 3PAR Get 6-Nines Guarantee」プログラム(4ノード以上のコントローラ利用の場合など)を2014年第3四半期に導入する。
ハーバーフィールド氏によれば、同社のフラッシュストレージビジネスは特に日本で成功しているという。だが、価格面が普及の足かせになっており、今回の施策はこの課題を解決するものという。「少なくとも80%以上のアプリケーションでオールフラッシュを適用できるようになるだろう。HDDが必要とされるのはアーカイブ用途ぐらいではないか」と話している。
日本からもクラウドパートナー
クラウド事業に関してはカンファレンスに先立つ5月に、新ブランド「HP Helion」やOpenStackディストリビューション「HP Helion OpenStack」の提供、パブリッククラウドサービスの世界展開、「HP Helion Network アライアンスプログラム」の設立などの施策を発表している。
これらの進捗についてクラウド担当バイスプレジデントのアマン・ドカニア氏は、「無償のHP Helion OpenStackコミュニティ版では既に日本の企業が試験導入を開始した。HP Helion Network アライアンスプログラムについても日本の大手プロバイダー数社と参加交渉を進めている」と語った。
HP Helion Network アライアンスプログラムは、HP Helion OpenStackを中核とするエコシステムになるといい、クラウド事業やISVなどの参加を募っている状況。既に米AT&T、英BT、Hong Kong Telecomといった大手の通信事業者が参加表明しており、IntelやSynapsisとの協業体制も築いている。
ドカニア氏は、「クラウドはパブリックサービスから広がったが、企業顧客が求めているのはあくまでハイブリッドクラウドであり、HPの戦略の軸もそこにある。セキュリティや柔軟性といったニーズを満たすならOpenStackベースであることが望ましく、今後もこの普及に努めていく」と述べている。
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