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フジテレビがクラウドを使ったCS放送のネット配信 テレビ局の切り札に? (2/2)

過去の番組をマルチデバイスで視聴できるサービスは多いが、マルチデバイス向けにサイマル(同時)放送するサービスをフジテレビが本格的に始めた。放送局の懸念を技術的にクリアできる環境が整ってきたからだという。

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パブリッククラウドに放送品質


EVCの國分秀樹社長

 10月からのニコニコチャンネル向けの配信では、映像系システムの構築や運用を強みとするシステムインテグレーターのEVCが支援にあたった。EVCは、パシフィックリーグマーケティングの有料ネット配信サービス「パ・リーグTV」などの導入も手掛ける。同社は、米国での採用実績や技術面などからMicrosoft Azure Media Servicesを配信基盤に選定した。

 米NBCの調査によれば、2012年のロンドン五輪では1日当たりの視聴時間がテレビだけでは平均4時間19分だったものの、PCやモバイル端末での配信を含めると同8時間24分に上った。視聴時間が増えれば、広告の視聴や有料サービスの加入拡大が期待される。Azure Media Servicesは、2014年のロシアでのソチ冬季五輪やサッカーW杯ブラジル大会でもネット配信に利用された。

 サービス利用の急激な拡大や縮小へ柔軟に対応しやすいのは、パブリッククラウドの大きな特徴だ。ただしこの点に加えて、テレビ放送では“当たり前”ともいえる24時間安定して番組を提供できる可用性をネット配信でも確保できるか、マルチデバイスに対してコンテンツを確実かつ安全に配信できるかも懸念された。


Azureによるニコニコチャンネル向けのフジテレビNEXTsmartの配信基盤

 まず可用性に関しては、Azureが国内2地域のデータセンターから提供されていることで冗長構成が組めることや、災害に対するデータセンターの堅牢性が認められたという。マルチデバイスへの配信では「Dynamic Packing」という接続デバイスに合わせて動的にストリーミングのプロトコルを変換する機能が提供されている。

 さらに、ユーザー側での視聴を可能な限り安定化させるために、「Active Client Switch」という技術を国内で初めて採用した。通信状況が悪化するなどして番組配信に異常が起きた場合、従来はクライアント端末側で検知してストリームを切り替えるなどの処理をするしかなかったが、Active Client Switchは配信サーバ側でも監視や検知、制御ができる。例えば、異常を事前に検知してサーバ側からクライアント端末側に接続するストリームの切り替えを指示することで、映像や音声が途切れることのない安定した視聴環境を提供できる。


ネット環境での視聴の安定性を高める新技術

 EVC社長の國分秀樹氏によれば、Azure Media Servicesに数10万ユーザーが同時接続しても、これらの機能が安定して稼働することを検証済みだという。

 フジテレビでは今後、フジテレビNEXTsmartでの機能拡充(番組終了後のオンデマンド視聴など)や配信基盤の統合化などを検討していくという。窪田氏は、「ぜひ、他の放送事業者にも積極的に参加していただきたい。業界全体で新たな仕組みを盛り上げたい」と語っている。今回の配信基盤は11月19日から千葉・幕張メッセで開催される放送・メディア業界向けの展示会「国際放送機器展(Inter BEE)」にも出品される。


将来はさらなる高精細映像の配信や放送システムのクラウド化も期待されるフェーズに
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