「Office 365」導入で、どんな効果が期待できるのか:特集「Office 365」(2/2 ページ)
Office 365の特徴は、「国内データセンター」で「必要な業務ツールをオールインワン提供」すること。情シスはそのコストメリットをどうとらえるか。リセラーによると、導入検討段階の企業が「ナルホド!」と一気に前向きになるポイントがあるようだ。「BCP」と「国内データセンターで提供」である。
「国内データセンターで提供する」ことの意味
国内にデータセンターがあるということは、つまり「クラウドといえど、データは国外へ出ない」ことを示す。公共部門や金融業界などのハイセキュリティ性を求める業界、業種は「国内にデータが保存されている」ことを求め、それをITシステム導入の条件の1つに据える。開発中の社外秘設計書/開発データを扱う業種など、海外流出の可能性が怖いと考える企業もそうだ。「国内データセンターで提供すること」は、業種・業態にとって非常に重要なポイントとなる。
日本企業には、「海外のサーバ(データセンター)にデータを預けるのは、なんとなく不安」という理由でクラウド導入に慎重になるケースもある。データセンターの国内縛りは法制化するというより、多くは一種の業界や特定企業による自主規制によるものと前述したリセラー担当者は説明する。ただ、流出のリスク以外に、機密の情報を海外のサーバに保管することは、特定データの輸出規制に該当する可能性もある──という考え方もできる。このため、リスクを排除しているという向きが多分にあるわけだ。こうした懸念は「国内データセンターで提供する」により、課題の多くが解消される。
実際に日本に多くの顧客を抱えるクラウドサービス各社は、Microsoft以外にも過去数年で国内データセンターを次々と設置し、それを積極的にアピールしている。この“日本データセンター”の部分は選定要件においてかなり大きな要素になっていることが伺える。
(続く)
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