企業のIoT活用を阻む“3つの障壁”(2/2 ページ)
富士通がIoT機器向けに、センシングモジュールとデータを分析するミドルウェアのパッケージ「ユビキタスウェア」を発売した。このユビキタスウェアは、企業がIoT活用をためらう「3つの障壁」を解決するソリューションだと同社はアピールしている。
病院での活用事例も
すでにユビキタスウェアは、病院や作業現場などでの活用事例がある。フィンランドの南ポフヤンマー県では、センサーを埋め込んだ「ロケーションタグ」を利用し、病院内のスタッフや患者、モノの位置などの情報を収集している。
PDR(移動経路推定技術)により、少数のビーコンでも屋内で高精度な測位が行えるほか、装着者の姿勢や転倒といった情報も取得できる。「病院内のリソース配置や、緊急時におけるスタッフの動線など、オペレーションの最適化に活用している」(斎藤氏)という。
また、グループ会社の富士通ネットワークソリューションズでは、温度や湿度、心拍数といった情報から装着者の熱ストレスを検知できる腕時計型デバイス「バイタルセンシングバンド」の実証実験を夏から始める。主に屋外で働くことが多い職場での熱中症対策に向けたもので、加速度や気圧を組み合わせた転倒検知機能で、事故が起きた場合でも迅速に対応できるとしている。
このほか、生活音を解析することで高齢者の異常を検知する「遠隔見守りステーション」、ペット向けのストレス検知システム「ペット見守りステーション」なども合わせて、2015年12月に発売する予定という。
斎藤氏は「2015年時点ではまだ大きな売り上げにはならないかもしれないが、2016年からは一気に数が増えているとみている。他のITベンダーもIoT関連事業に取り組んでいるが、うちは研究所にユビキタスの専門チームを作っているなど、他社にはない取り組みをしている。特にデータ分析のアルゴリズムなどは優位性があると思っている」とIoT市場の“攻略”に期待を寄せた。
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