“脱Excel”でクレーム半減、三井住友海上の挑戦(3/3 ページ)
コールセンターへの電話がつながらなくてイライラ。そんな経験がある人は多いはず。これは企業にとっても大きな悩みの種だ。人工知能など、コールセンターへのIT導入を進める三井住友海上火災保険は、オペレーターの応答率を高める新システムを導入したという。
応答率が改善、回線制限も撤廃
新システムを導入した2014年7月以降、応答率は向上し、苦情も大きく減った。正確な入電数予測ができるようになったことで、特に休日明けなどの電話が集中する時間帯での応答率が向上したそうだ。2013年度と対応人数はほぼ変わっていないことから、各個人の生産性が高まったといえる。
「運用定着の期間としていた4月から6月にかけて“応答率90%を目指そう”と頑張り、データを取得しました。運営も安定し、お客さまデスクでの運用が始まる7月を精度が高い状態で迎えられました。現在は1日通して、実際の入電数を5%上回る程度の数値が予測として出ています。時間帯ごとの細かな調整については、人力で行うという状況です」(寳寄山さん)
さらに、これまではコールセンターの処理能力を超えないよう、繁忙期を中心に接続する回線数に上限を設けていたが、応答率が上がったことで、回線数の制限もなくすことができた。つながらなかった人が電話をかけ直す、といったケースが減ったため、全体の入電数も減少しているという。
オペレーターの効率的な研修ができるように
応答率が高まったことで、効率的な研修を実施できるという、予期しなかった効果も表れた。
入電数の予測が定まらないときは、オペレーターの予定を計画的に確保できなかったが、オペレーターの勤務時間が安定し、空き時間に研修を入れられるようになった。オペレーターに求められるスキルは多く、全員がその全てを習得しているわけではない。このような研修もまた、顧客満足度の向上につながるという。
今後は、保険手続き関連のコールセンターにもCTBASE/WFM Cloudを導入する予定だ。応答率は悪くないものの、計画的なオペレーターの教育が行えていないという課題がある。「お客さまデスクで得たリソースマネジメントのノウハウをもとに、PDCAを回しながら最適化を目指していきます。応答率もさらに高めていきたいですね」(寳寄山さん)。
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