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第6回 今年と来年の「年末調整」をどうするか:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(3/3 ページ)
中小企業のマイナンバー対応は「士業への委託と連携+できるだけ持たないを考えた実務」がキモになる。6回目は「源泉徴収税(年末調整)業務」が、今年(2015年)と来年(2016年)でどう変わるか、何を留意するかを解説する。
「来年の年末調整」でマイナンバーはどのように取り扱うか
来年(2016年)の年末に行う年末調整では、従業員ごとに作成する主な帳票「給与所得の源泉徴収票」が従業員本人および扶養親族のマイナンバーを記載するために大きく変更となる予定です(前項で説明した退職時に作成する「給与所得の源泉徴収票」もこの様式となります)。
(参考)「給与所得の源泉徴収票」の書式 平成28年(2016年)分以後より番号を記載して提出する(出典:国税庁「国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点」 2015年3月31日現在のイメージ)
通常の年末調整の計算処理を行い、最終的に給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出する際にマイナンバーを記載して提出すればよいわけです。しかし、この作業を企業、税理士事務所いずれで行うにしても、作業時の情報漏えいリスクを軽減するために、以下の点に留意して使用するシステムの選択や業務運用を考えてください。
- 作業効率を考えると(特に税理士事務所で作業する場合)、これまでと同じように(マイナンバーへアクセスする権限のない人も)作業できるようにしたいところです。→そのために、作業画面ではマイナンバーを見ることなく作業できる機能が年末調整ソフトにあることが望ましい
- 源泉徴収票など法定調書や給与支払報告書の提出では、書面での提出は漏えいリスクも高まります。→このため、電子のまま申請できる方法(e-TaxやeLTAX)を選択すること
- 本人交付の源泉徴収票は原則として従業員などのマイナンバーを印刷して渡すことになります。しかし、従業員が所得証明で源泉徴収票を金融機関などに提出する際にはマイナンバーを記載したままでは、目的外利用となるので使用できません。→このため、本人の希望によりマイナンバーを印刷しない機能などが年末調整ソフトにあること
- マイナンバーを記載した源泉徴収票などを印刷せざるを得ない場合、プリンタにマイナンバー記載書類を出力する際の安全管理を考えます。→例えば、プリンタ周りにマイナンバー取扱担当者または責任者を配置して、マイナンバー記載書類がその他の人の目に触れないよう配慮、管理する体制にする
今年(2015年)の年末調整と比べ、来年(2016年)の年末調整では安全管理面で配慮しなければいけないことが格段に増えてきます。
企業であれ税理士事務所であれ、年末調整をPCで処理している場合は、マイナンバーも当然PCで管理することになります。つまり、2015年のマイナンバー収集時から2016年の年末調整を意識して、情報漏えいのリスクをできるだけ軽減できるシステム選びと体制づくりも大事になります。
(続く)
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