Appleが人工知能(AI)・機械学習のエキスパートを大量募集 Siri強化が目的か
Appleが、人工知能(AI)や機械学習の専門家を大量に求人していることが同社の求人ページから明らかになった。ReutersはiPhoneの「Siri」の強化が目的と報じ、Appleのプライバシー尊重方針がビッグデータの機械学習を困難にしていると指摘した。
米Appleが人工知能(AI)や機械学習の専門家を大量に募集していると、米Reutersが9月7日(現地時間)に報じた。iPhoneのパーソナルアシスタント「Siri」を強化し、米Googleの「Google Now」に挑戦するのが目的と同紙はみている。
Appleは次期モバイルOS「iOS 9」で、ユーザーの意向を先回りして情報を表示する「Proactive Assistant」という機能を提供する。表示する情報は、Google Nowと同様に、ユーザーのサービスやアプリの利用履歴や時間、位置情報に基く。関連性の高い情報を提示するには、AIや機械学習の技術が必要だ。
Googleは次期モバイルOS「Android 6.0 Marshmallow」に、機械学習技術を採用し、ユーザーに必要な情報を推測して提示する機能「Now on tap」を搭載する見込みだ。
2社の新機能はかなり似たものになりそうだが、大きな違いは、Googleはユーザーが入力した大量の情報を自社サーバーに集め、ビッグデータとして解析できるのに対し、Appleはプライバシーを尊重し、個人情報を収集しない点だ。今年のWWDCでProactive Assistantを紹介した際、ソフトウェアエンジニアリング担当副社長のクレイグ・フェデリギ氏はこの新機能のために使うデータは匿名化され、Apple IDとリンクしないと強調した。
だが、こうしたプライバシーの尊重は機械学習技術の構築を困難にするとReutersは指摘する。また、AI・機械学習の専門家にとっても、大量のデータを扱えるGoogleやFacebookの方が魅力的だろう。
現在求人している「データサイエンスエンジニア」の説明には、「ペタバイト規模のデータの最先端のデータ解析を可能にする環境を構築する」とある。
Appleは9月9日のイベントに合わせ、iOS 9をリリースするとみられている。
関連記事
- Apple、「Google Now」のような「Proactive Assistant」(ただし個人情報は集めない)
Appleが、Googleの「Google Now」のようにコンテキスト(ユーザーのアプリ利用履歴や時間、場所など)に基いて情報を提示するiOS 9の新機能「Proactive Assistant」を発表した。Appleはこのサービスのために使うユーザー情報を流用することはないと強調した。 - Apple、「iOS 9」発表
Appleがモバイル端末向けOSの新バージョン「iOS 9」を発表した。今秋に登場する予定。 - Google Nowの気が利き過ぎる新機能「Now on tap」 機械学習でニーズを先取り
Googleの次期モバイルOS「Android M」では、どんなアプリを使っていても、ホームボタンを長押しすることでユーザーのコンテキストに合わせた情報カードを表示する新機能「Now on tap」が利用できるようになる。 - Facebook、人工知能研究ラボを立ち上げ
Facebookが人工知能(AI)、機械学習、データ科学を研究するためのラボを立ち上げ、ニューヨーク大学Center for Data Scienceの教授を所長に迎えた。 - Apple、9月9日にイベント開催 「ヘイSiri、ヒントをちょうだい」
Appleが9月9日午前10時(日本時間の9月10日の午前2時)にプレスイベントを開催し、ライブストリーミングすると正式に発表した。このイベントでは「iPhone 6S/6S Plus」(仮)や新「Apple TV」を発表するとうわさされている。Siriに「ヒントをちょうだい」と尋ねてみると……。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.