第29回 「スタートアップ」ってベンチャー企業のことでしょ?:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(1/2 ページ)
スタートアップ企業とベンチャー企業。意味は同じと思っていませんか? 外資系スタートアップに籍を置く知人は、そろってベンチャー企業と呼ばれることをいやがります。それはなぜなのでしょう……。
スタートアップ企業――。
ITインフラはソフトウェアだけで完結することはできません。仮想化やSoftware-Definedでいくら抽象化されても最終的にはハードウェア性能に依存します。つまり、ハードウェアがよくなればシステムやインフラも大きく変われる可能性を秘めており、スタートアップ企業から生まれる画期的な製品や技術は業界にとって重要な存在です。
私の周りも、外資系スタートアップ企業に籍を置く知人が増えてきました。彼らの強い主張やネタを交えて、この辺りの“ここが変だよ”について考えてみたいと思います。
IT起業はアメリカンドリーム?
スタートアップ企業は重要な存在と述べましたが、これは業界全体の活性化・市場の拡大に期待するベンダー、つまり売り手側の気持ちが強く、利用者である買い手側の気持ちは軽視されているかもしれません。実際、日本の利用者、つまり企業の情シス部門にまでミクロ化してみると、否定的な意見で占められます。多くは、開発元の対応が極端に非協力的であったり、買収や撤退など、自分自身に降りかかって来る責任問題。つまりは“リスクがある”ということです。
しかしながら、米国のシリコンバレーでは「Uber」に代表されるようなグローバル規模で成功している優良なスタートアップ企業を多数輩出し続けているわけですし、事実として今日のほとんどのIT関連企業は(AWSなどの一部を除いて)起業時に大きな後ろ盾はなく、元はスタートアップ企業だったわけです。誰もが成功するわけではない“アメリカンドリーム”ではありますが、歌手やダンサーといった昨今のそれと比べれば、つかみやすい夢と言われているそうです。
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