データドリブンな企業風土をどう作る? リクルート、スカパーの事例に学ぶ:「セルフサービスBI」セミナーリポート(3/4 ページ)
ここ1年ほどで企業のデータ活用に大きなトレンドが生まれている。業務部門が自らデータ分析やリポートの作成を行う「セルフサービスBI」だ。このほどITmedia エンタープライズ編集部が「セルフサービスBI」のセミナーを開催。スカパーやリクルートといった企業事例や最新のソリューションが紹介された。
ITや統計の知識がなくても、仮説検証を行える
本セミナーでは、企業のデータ活用を支えるセルフサービスBIツールも多数紹介された。まず、Tableau Japanでセールスコンサルタントマネージャーを務める並木正之氏が「Tableauが紹介する『誰でも簡単にビッグデータを視覚化し、分析』」と題した講演を行った。
世界的に高いシェアを獲得しているセルフサービスBIツール「Tableau」は、エボラ出血熱の感染範囲の推定、海洋汚染で数が激減しているメキシコの“オニイトマキエイ”の保護、孤児支援の効果測定など、さまざまな場面で使われていると並木氏は紹介する。
「Tableauは、ITや統計の知識がなくても数字を見て仮説検証を行い、改善活動を行えるかという点を重視しています。そして、どのように数字を見せれば、人が簡単にデータを理解し、新たな発見ができるかということを目標に、UIやUX、データのビジュアライゼーション(見せ方)にこだわっています」(並木氏)
並木氏は「セルフサービスBIを取り巻く環境はここ1年で大きく変わっている。米国もそうだが、日本もそれに追随するペースだ」と、日本でセルフサービスBIツールの利用が拡大していることをアピール。セルフサービスBIツールを使う意義として、自らが考える時間や考えを伝える時間を短縮し、すぐにビジネスの判断やアクションにつなげられることを強調した。
「皆さんの目標を達成したいという気持ちに対し、優れた道具を与えたい。それが私たちの考えです。だまされたと思って使ってみて、データに慣れ親しんでください。現場が強い日本ならば、もっとデータの活用ができるはずです」(並木氏)
クラウドで使えるBIツールのメリット
セルフサービスBIツールの導入を検討する企業には、従来型のBIツールを導入して失敗したことがきっかけとなっているケースも多い。
「DWHやBIシステムを使ったお客さまが不満な点として上げることが多いのは、基盤構築や初期投資が高額であることやツール自体の柔軟性の欠如、そして開発や運用時にIT部門の負荷が高いこと」――こう話すのは日本オラクルでクラウド、ビッグデータ関連商材のマーケティングマネージャーを務める五十嵐恒氏だ。
こうした問題に対応するため、基盤構築が必要なく、小規模の投資で始められる、クラウドを利用したセルフサービスBIに注目が集まっているという。「ユーザーが少ないうちはクラウドで、増えてきたらオンプレミスに乗り換えるというパターンも見受けられます。クラウドであれば業務部門主導で導入を進めやすいのも特徴です」(五十嵐氏)
オラクルが提供している「Oracle BI Cloud Service」では、こうした機能を踏まえつつ、オープンデータをはじめとする外部データとの連携や、オンプレミスのデータベースなどとの連携も可能としており、極めて高い柔軟性を持つと五十嵐氏は強調した。
関連記事
- 「セルフサービスBI」でデータドリブン型企業をつくる
社内の専門家ではなく、業務部門自らがリポート作成やデータを扱う――。ここ数年で「セルフサービスBI」と呼ばれる動きが広がりつつあります。「そもそもセルフサービスBIって何?」「導入するときに気を付けるポイントは?」 本特集ではセルフサービスBIを通じて、“現場自らがデータを分析できる会社”をつくる方法をお伝えします。 - データ分析の注目トレンド、「セルフサービスBI」って何ですか?
昨今、業務部門が情シスに頼らず、自らデータ分析やリポート作成を行う「セルフサービスBI」が注目されている。あらためて「セルフサービスBI」とは何か、そして導入時に気を付けるポイントは何かを専門家に聞いてみた。 - セルフサービスBI、導入に失敗しないための準備とは?
業務部門から「セルフサービスBI」を導入してほしいと言われたときに、これまで使ってきた従来型のBIツールを捨て、セルフサービスBIに切り替えるべきか悩む企業は多いが、“二者択一”の問題ではなく、両者を並立させる使い分けが重要なのだという。 - 脱Excelで生産性15倍、リクルートが「Tableau」を選んだ理由
データ分析に「セルフサービスBI」を検討している企業は多いが、業務部門主導でデータ分析を行う文化を作るのは簡単なことではない。そこで「Tableau」でさまざまな成果を上げているリクルートライフスタイルに、導入のポイントやツールの活用方法を聞いてみた。 - リクルートに聞く“脱Excel、BI導入”成功への秘策
「セルフサービスBI」をビジネスの現場に浸透させるにはどうすればいいか。「Tableau」の社内展開に成功したリクルートライフスタイルが取った方法は、社内に次々とエバンジェリストを作るというものだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.