データドリブンな企業風土をどう作る? リクルート、スカパーの事例に学ぶ:「セルフサービスBI」セミナーリポート(4/4 ページ)
ここ1年ほどで企業のデータ活用に大きなトレンドが生まれている。業務部門が自らデータ分析やリポートの作成を行う「セルフサービスBI」だ。このほどITmedia エンタープライズ編集部が「セルフサービスBI」のセミナーを開催。スカパーやリクルートといった企業事例や最新のソリューションが紹介された。
「業務部門だけでは導入が不安」という企業の強い味方
スカパー・カスタマーリレーションズの事例にもあるように、いくらツールが使いやすいと言っても、実際にセルフサービスBIツールを本格的に導入しようとすると、さまざまなITに関する知識が必要となるのが現実だ。導入に関する知識がないときはどうすればいいのか――。日立システムズの山崎研三氏は、ユーザーのそんな疑問に答える講演を行った。
日立システムズは「QilkView」をはじめとするBIツールの拡販や導入コンサル(支援)を行っている。そんな同社が懸念するのは「多くの会社では、BIがレポーティングツールとして使われがち」であることだ。
「企業の経営企画部がデータを手作業で統合し、会議のたびに資料作成に追われるというケースを多々見てきました。そうした時間を減らして、データをもとに新たな施策検討などを行いたいというところが本来の目的のはず。日立システムズでは、コンサルテーションから、データの取り込みや分析環境の整備まで行っています」(山崎氏)
また、セルフサービスBIツールを現場に浸透させるには、意識の醸成や運用ルールなどの整備も必要だという。「導入を成功させるコツとして思うのは、現場の人に“やってみよう”“できそう”という気持ちになってもらうことですね。運用ルールも作っただけではダメで、ちゃんと推進していないといけません。ツール導入の話ですが、最後は人がネックになることも多いのです」(山崎氏)
データの可視化から「未来の予見」へ
「変化の激しい時代において、企業がデータを活用するのは、やはりビジネスに直結する成果を出したいという目的があるはず。これをゴールとするならば、過去の実績を“見える化”しただけでは成果は望めません」――。
こう話すのは、SAS Institute Japanでビジュアルアナリティクス推進担当部長を務める畝見真氏だ。ビジネスで成果を出すためには、変化を先読みして対応できる力が必要になると主張する。
「従来のBIツールは、レポーティングの使い方がメインとなるケースが多かったのですが、最近は、より高度な分析に踏み出そうと“統計解析”に手を出す企業が増えてきています」(畝見氏)
SASが提供する「SAS Visual Analytics」では、従来データ解析の専門家や、プログラミング言語を扱える人間しか使えなかった、時系列分析やバブルチャートといったさまざまな分析手法が使え、専門的な知識がなくとも、先の予測が立てられるようになると畝見氏は話す。「できる限り全てのユーザーが、優れたデータ分析をできるようになることが、“データドリブン”という企業風土を実現する第一歩となるのです」
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