第37回 日本的RFIの中から“革新”の原石を見つけるには?:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(1/2 ページ)
RFPでは革新的なアイデアを提案してもらいづらいのですが、その前段階であるRFI(情報提供依頼書)ならチャンスがあります。RFI活用のポイントはどこにあるのでしょうか。
コンピュータ業界において“インフラ”といえば、サーバ・ストレージ・ネットワーク・OSなどですが、世の中的には電気やガス・水道でしょう。縁の下の力持ちではありますが、どちらもどこか“地味”“堅実”な印象は拭えません。
個人的な意見ですが、ITインフラはもっと陽の目を浴びても良いと思っており、そのためには注目を浴びるテクノロジーが必要です。しかしながら、例えApple製品のような前向きで革新的な製品・サービスが開発されたとしても、前回ご紹介したようなRFP(Requset For Proposal:提案依頼書)に同梱される「要件適合表」のこともあり、ユーザーはもちろんベンダーでさえも冒険しづらいのが現実です。
こういった状況下にありつつも、少しでも革新的なアイデアを取り入れるにはどうしたら良いでしょう?
もちろん、RFIは重要
おそらく多くの方は、RFPの前段階である情報収集フェーズ「RFI」(Requset for Information:情報提供依頼書)を思い浮かべたのではないでしょうか。
RFIでベンダーから情報提供を受けて要件や方式を絞りつつ、ベンダーの力量も計る。そして、RFPで再度ベンダーから見積・提案を受けて発注先を選ぶ、というのが日本の教科書的なやり方です。であれば、RFIをもっとしっかりと、幅広く行うことで、画期的なアイデアを提示してくるベンダーもいるのでは、と考えられます。
これはもちろん正しいですが、参考にしていただきたい点があります。それは、
「どうやって探すか、どうやって絞っていくか」
です。
RFI段階での“足切り”
先に後者について考えてみます。ベンダーの絞り方です。
少し話がずれますが、自宅の引っ越しを思い出してください。最近ではインターネットで複数の引っ越し業者から一括見積ができるWebサイトがありますが、8社とか10社とかに依頼してしまうと、電話がひっきりなしに掛かってきます。もし、単身ではなく家族の引っ越しとなれば、訪問見積が必要になってきますので収拾がつかないでしょう。
これと同様に、RFIも間口を広げるとそれだけの情報提供・提案を受けなければならないということになります。メールだけでやり取りが済めば良いですが、前回もご説明したとおり、ITインフラは注文住宅のようなものです。既製品ではありませんので“訪問見積”タイプ。ヒアリングとプレゼンの場を設けなければなりません。さらに、RFIでベンダーを絞らなければ、RFPでもまた同じ苦労を強いられます。ですので、RFIであっても情報提供を受けるだけでなく、それを評価・採点し、“足切り”という形でベンダーを絞ることになります。
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