第37回 日本的RFIの中から“革新”の原石を見つけるには?:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(2/2 ページ)
RFPでは革新的なアイデアを提案してもらいづらいのですが、その前段階であるRFI(情報提供依頼書)ならチャンスがあります。RFI活用のポイントはどこにあるのでしょうか。
RFIでの足切りで参考にしたいこと
RFIでの足切りで参考にしていただきたいのは2点です。
1つは、足切りする予定があることをベンダー側にきちんと伝えるということ。RFPであれば別ですが、RFIだと提案内容や見積価格について本気を出さない(出せない)ベンダーも多い実情があります。良いベンダーであればあるほど忙しいものであり、RFIと聞くと雛形テンプレートや過去の案件の提案資料を流用しがち。過去のものはそれだけ“革新的な提案”の可能性が低いわけで、足切りを示唆してベンダーを本気にさせるべきです。
そしてもう1つは、テクノロジー的に画期的な提案をしてきたベンダーは“特別賞”でも良いので残してみるということです。提案に粗さがあったり、価格の問題や事例・実績といった欠点があっても、RFIの段階では足切りせず、とりあえず残しておきましょう。RFPの段階で解決されていれば良い話ですので、RFIの段階では指摘だけしておき、本提案であるRFPの際にでも、改善できたかどうか尋ねれば済む話かと思います。
具体的には、足切りで「3社残す」と決めていた場合、先進的な提案をしてきたベンダーを3位にしても良いですし、3社とは別枠で残しておき、RFP作成時に改善確認した上で、判断(RFP上で提案できるようにするか、もしくはRFP配布対象から外すか)しても遅くはないかと思います。
RFI前はどうやって情報収集すればよい?
そしてそもそも、そういった期待の星をどうやって探せばよいのでしょう?
RFIより前の段階では多くの日本企業が、「出入りのベンダーから話を聞く」「高いお金で雇っているコンサルタントに任せる」というようにしています。大手総合ベンダーに勤める私が言うのも何ですが、それではやはり偏ってしまいます。変に保守的であったり、特定の1社を無理に持ち上げられたり……。
コンサルタントはお金をいただいた相談に乗る“プロ”です。プロであるが故に、間違ったことは言えません。自分の助言が間違いでプロジェクトが失敗したなんてことがあれば、契約を更新してもらえないかもしれないかもしれません。それゆえに、リスクのあることは言えないのです。出入りのベンダーも同じです。次回から声を掛けてもらえなくなることは避けたい―――そんな気持ちがあります。
いつも懇意にしている取引先の担当者。それが出入り業者だろうと、コンサルタントだろうと、サラリーマンだろうと、フリーランスだろうと変わりません。取引先というのは、意外と冒険ができない、保身に走りざるを得ない、という本音は覚えておきたいところです。
ということで、“真の” 先進的・革新的なITインフラを目指すのであれば、自分の足での情報収集が基本です。しかしながら、情シス担当者は時間が無く、外出するのもはばかられる傾向にあります。効率的に情報を得るには、やはりセミナーやイベント・カンファレンスが中心になるでしょう。次回はこのあたりについて、ステマ無しで“ここ変”をつづってみたいと思います。
小川大地(おがわ・だいち)
日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。
カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション
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