社員40人の企業が3日でマイナンバー対応準備を済ませるまで:考えるよりまずは動くこと(2/3 ページ)
2016年1月から各種の行政手続きで必要になる「マイナンバー」。対応が急務となっているが、まだ対応できていないという企業も少なくない。今回、短期間でマイナンバーへの対応準備を済ませた企業の事例から「会社がすべきこと」「期間」「費用」を具体的に見てみよう。
これらを行うにあたっては、各業務担当者へのヒアリングに基づく業務実態の把握、法律に照らした問題点の確認と対応策の検討、ルールのドキュメント化など、膨大な作業が発生する。こうした分野に明るい社員がいれば、全てを自社で行うことも可能だが、特に規模が小さな会社であれば、そのための人的リソースの捻出は難しい。その場合、外部の支援サービスを利用するのが現実的な選択肢となる。
SCPソフトでは、マイナンバー対応を進めるにあたって、LRMが提供する「マイナンバー対応支援パッケージ」を活用した。
LRMは、セキュリティに特化したコンサルティングとソリューションサービスを提供する企業。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)やプライバシーマーク(Pマーク)の認証取得に関するコンサルティング、運用サービスを手掛け、IT企業を中心とした600社以上での支援実績があるという。
SCPソフトでは、上記の1〜7の部分を、LRMのサポートによって実施した。同時に、同社業務ソフトを導入した顧客における、サーバ上のマイナンバー情報の取り扱いに関するマニュアルも作成している。
LRMの代表取締役である幸松哲也氏は、「われわれのサービスでは、実際に現場で業務を行っている担当者へのヒアリングを通じて、一般的な取り扱い規定だけでなく、各会社の業務内容に最適化したマニュアルの作成までを行います。そのため、スムーズに実際の運用に移ることができます」と話す。
コンサルにかかった日程と料金は
では、実際のコンサルティングはどのように進められるのだろうか。
LRMでは、コンサルタントが顧客企業に出向き、約50項目の質問票をもとに幹部、総務担当者、社会保険労務士といった関係者に対してインタビューを実施。そこで収集した業務の状況に関する情報をもとに規定を作成していく。インタビューと情報整理にかかった期間は、SCPソフトの場合「3日」だという。一般的にも、約1〜2回の訪問で規定は作成できるとする。
「SCPソフトの場合、ソフト開発企業ということもあって、ITシステム上の情報管理、セキュリティ面に関しては新規に対応を行う必要がない状況でした。マイナンバー収集のフェーズでどのような方法をとるかなどについては、企業の状況によって違いが出てくるかもしれませんが、現時点であれば、業種や業態などによってマイナンバーの管理規程に大きな違いがでるケースは少ないだろうと思います。基本的には3回の訪問で、規定作成に必要な情報集めは完了します。会社の規模が小さければ、2回で可能なケースもあるでしょう」(幸松氏)
SCPソフトにおける対応支援サービス利用の費用は約40万円。金額は、主に企業規模によって変動するものの、一般的な中小規模企業では、30万〜40万円程度がLRMでの相場だという。もちろん、支店を持たず、従業員数も少ない会社では、さらに安価にサービスを提供できるケースもあるとしている。規定作成のためのテンプレートのみを提供し、自社内で対応を行う場合の費用は「7万円前後から」になるという。
SCPソフトでは、今回のマイナンバー対応支援サービスで作成された規定と業務マニュアルをベースに、2016年以降、運用を開始していく。社員への教育に加え、運用実績に基づいた規定の微調整といった作業が必要になる。
マイナンバー対応に限らず、こうした「規定」については、実際に運用しながら、継続的にその規定が守られているかを評価し、是正していく取り組みのほうが、規定そのものの作成よりも重要になる。SCPソフトでは、現時点で自社としてのマイナンバー対応への指針が整ったことにより、社内での運用のみならず、顧客に向けたソフト開発、サービス提案においてもプラスになっているという。
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