社員40人の企業が3日でマイナンバー対応準備を済ませるまで:考えるよりまずは動くこと(3/3 ページ)
2016年1月から各種の行政手続きで必要になる「マイナンバー」。対応が急務となっているが、まだ対応できていないという企業も少なくない。今回、短期間でマイナンバーへの対応準備を済ませた企業の事例から「会社がすべきこと」「期間」「費用」を具体的に見てみよう。
「今すぐ」動きはじめることで今後の負担を減らせる
マイナンバーに関連した実務は2016年1月からスタートしたが、実際にマイナンバーを記載した申告書の関連省庁への提出は、2017年以降になる。導入されたばかりの制度でもあり、その書式等の詳細は、今後随時決められていく形になる。だからといって、会社としての対応も「様子見」でいいかといえば、それは別の問題だ。
「現時点でも、対応を考えるところで止まっている会社がかなり多いのではないかという印象があります。ただ、あまりどっしりと構えすぎるのも問題でしょう。いずれ必要になるのですから、まずは具体的にルールを作って、運用を始めておく。それができれば、業務の中で問題が出てきた場合や、行政側での書式変更などがあった場合でも、部分的に手直しをするだけで済むのです」(秀嶋氏)
また、LRMの幸松氏も、あまり厳密に考えすぎず、すぐにマイナンバー対応への取り組みを始めるべきだと指摘する。
「会社のマイナンバー対応について、現在世の中に出ている情報は、法律そのものに厳しく準拠したものが中心になっています。ガイドラインも出てはいますが、そこで示されている方法をそのまま会社に取り入れるのは難しい。そのため、取り組みに『及び腰』になってしまっているところも多いのではないでしょうか。
ガイドラインは、あくまでも運用手法の例示にすぎず、絶対にその通りにやらなければならないというものではありません。実際には、法律に照らしつつ、企業にとって現実的な方法を考えながら、規程や運用ルールを作っていく形になります。あまり深刻に考えすぎず、コンパクトに取り組みをはじめてみるのがいいのではないかと思っています」(幸松氏)
今回の事例における「作業は約3日、費用は約40万円」というマイナンバー対応準備の具体的な数字を見て「案外すぐにできるではないか」と感じただろうか。それとも、「そんなにかかるのか」と感じただろうか。いずれにしても、人を雇い、保健や税務に関する申告を行っている全ての事業者は、何らかの形でマイナンバーに対応した情報管理の体制について考える必要がある。
2016年に入った今、情報収集だけではなく、具体的なアクションを起こすことが必要な段階に来ている。会社の規模や業務内容によっては、外部のサポートサービスを利用することも視野に入れつつ、マイナンバーの取り扱いに対応した業務環境の実現を進めていくべきだろう。
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