リオ五輪のセキュリティ事情から学ぶ東京五輪への対策:ハギーのデジタル道しるべ(1/2 ページ)
リオ五輪ではセキュリティ界隈の話題も豊富(?)なようだ。今回は現地の情報セキュリティの状況から、4年後の東京五輪における対策のヒントを探ってみたい。
いま日本中がオリンピックに沸いている。実は筆者の友人がリオデジャネイロに向かったが、聞くところによれば、その治安の悪さなどはマスコミが伝える以上だったようだ。今回は、そのリオにおける情報セキュリティの実状から4年後の東京五輪に向けた対応策のヒントを考えてみたい。
無料Wi-Fi
東京五輪に向けて現時点で不足している点が幾つかある。外国語の標識や地図、ホテルなどの宿泊施設といったものと並んで挙げたいのが無料Wi-Fiだ。
2012年のロンドン五輪でも今回のリオ五輪でも、開催地では公衆Wi-Fiが急増した。ニュースによれば、リオ五輪の会場周辺に4500カ所も増設されたようだが、治安の悪さが話題にされるだけに、実は偽の公衆Wi-Fiが多数見つかったらしい。セキュリティ会社のカスペルスキーによると、新設されたWi-Fiの約25%ではセキュリティが甘い、もしくは脆弱性があるという極めて悲惨な状況だという。
利用者が、「このWi-Fiは本物か、偽物か?」「本物でも脆弱なセキュリティになっていないか?」ということまで踏み込んでWi-Fiを使うには、かなり神経質にならざるを得ないだろう。また地下鉄でもWi-Fiが提供されているが、このネットワークも安全とはいえないと一部のセキュリティ企業が指摘している。
東京五輪では、どこかの喫茶室のようにWi-Fiへのログイン時にだけ暗号化するような対策は禁止し、安心・安全なネット環境を快適に使えるようにしたいものである。
ATM
以前にこの連載でお伝えしたように、ATMの利用で注意するべきことは大きく2つある。
一つは、ATMのカード挿入口にスキマーが重ねて付けられていないかを確認することだ。スキマーはとても薄く、本体から数センチだけ重ねられている。よほど注意しないと、その存在に気が付かないケースも多く見受けられる。国内でも大手銀行のATMが似たような被害に遭い、筆者はその再現実験をしたことがあった。この時は、ATMの側にあるチラシ収納用の小箱に盗撮カメラが仕掛けられていた。リオでもスキマーに加えて、天井などに盗撮カメラが仕掛けられていたという。
もう一つは、会場近くに置かれたATM自体が偽物という場合だ。ATMの筺体だけは本物というケースも多く、それだけ見ても分からない。ただし、ケーブルがむき出しになっていたり、ATMが固定されずに体重をかけると動いたりして、偽物と分かる場合がある。
いずれにしても、一流ホテルや銀行など詐欺に遭う可能性の低い場所を選んで利用することをお勧めする。
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