リオ五輪のセキュリティ事情から学ぶ東京五輪への対策:ハギーのデジタル道しるべ(2/2 ページ)
リオ五輪ではセキュリティ界隈の話題も豊富(?)なようだ。今回は現地の情報セキュリティの状況から、4年後の東京五輪における対策のヒントを探ってみたい。
公式サイト
先日、五輪の正式入場券を不正に転売したとしてIOCの理事が捕まったが、リオ五輪の正式サイトそっくりに作られた偽サイトが、カスペルスキーの調査だけでも約230も発見されている。
正規の入場券を購入しようと真面目な一般の人が偽サイトで購入してしまうと、当然ながら入場券は届かないし、代金も戻らない。そして、後日にクレジット情報が悪用されるという三重苦を味わうことになる。
購入する前には、正規サイトのURLや証明書、アクセスするPCの環境を必ず確認する。特に自身のPCを利用しない場合は、十分な注意が必要である。
スマホや携帯
マスコミでも報じられているように、最もマズイことはスマホを使いながら歩く、電話しながら歩くという行為だ。自国開催となれば、無自覚になりがちだ。絶対に避けよう。会場内であれば問題ないだろうが、場所によっては通話エリアから外れてしまう。その場合は、まず場所を移動し、身の安全を確認してから次の行動に移るべきだ。
東京五輪では自動翻訳によって外国語の案内や質問、目的地までの案内などができるサービスも検討されているようだ。そうなると「技術立国・日本」のイメージがさらに高まると思われるだけに、セキュリティも特長付けたい。
テロ対策
最期にテロ対策である。日本の対策は諸外国からみると「???」な部分が多い。詳細はあえて割愛するが、至る所にゴミ箱が置かれている状況や、地下鉄サリン事件から学んだはずの車輌の構造問題などで多々指摘すべきことがある。
「開催まで、まだ4年もある」とは考えず、「もう4年しかない」と考えるべきだ。準備できるのはせいぜい3年であり、着実かつ現実に沿った対応策(特にコストパフォーマンスの面でも)を具現化する。リオをお手本として、日本ではぜひ最高の大会にしていただきたいものだ。
萩原栄幸
日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。
組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
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