データ活用に本腰のセゾン、なぜ「Tableau」と「Azure」を採用したのか:プライベートDMPで新ビジネスを(3/4 ページ)
社内のデータを活用するため、約1年かけてプライベートDMPを構築したクレディセゾン。その裏にはセルフサービスBIの導入や、社内初のクラウド導入といったさまざまなチャレンジがあったという。
現場がデータを活用する風土を“セルフサービスBI”で加速
セゾンDMPの構築と並行して、同社ではセルフサービスBIツールの導入も進めていた。クレディセゾンでは従来、顧客情報や購買情報を分析するツールとして、テラデータのほかSASを導入しているが、さらに多くの現場に近いメンバーも分析に参加することで、新たな知見を得られるのではないかと考え、セルフサービスBIの導入を検討し始めたという。
SAPやPower BIなど、さまざまなツールを約半年ほど比較検討した結果、クレディセゾンでは「Tableau」を採用することに決めた。その理由について、同社ネット事業部 インキュベーション部の井上洋平さんは次のように話す。
「Tableauを選択した理由は主に2つあります。1つはUIやUXが優れており、社内で広く使ってもらえそうだと思ったことです。やはり、SQLを意識せずに使える点はセルフBI全般のメリットですね。もう1つはセキュリティの観点です。DBを開放したくなかったため、TableauがセゾンDMPと同じく、Microsoft Azure上にインストールできることが決め手になりました」(井上さん)
現在は部内の数人で使用しており、分析を行っているところだという。効果が表れれば、導入の範囲を広げていく構えだ。
「例えばカード事業部のリボルビング払いの利用促進を担当しているメンバーが、これを使ってカードの利用促進をする新しいクラスタを発見するとか、そんな形になっていくのが理想ですね。そのためには、使いやすいツールが身近にある環境が大事です。
これまでクレディセゾンでは、顧客情報や購買情報などデータベースは分かれていたものの、それぞれのデータベースに対して皆が使える分析ツールが用意されていて、それがノウハウとして伝授されてきていました。だから、マーケティングが強い会社になったのだと思うのです。そんな取り組みがセゾンDMPでもできるようにしていきたいですね」(井上氏)
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