コレ1枚で分かる「人工知能研究の2つのアプローチ」:即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)
人工知能の開発について研究の歴史を整理していくと、「論理的思考の機械化」から「感覚的思考の機械化」へと変化してきたことが分かります。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
「論理的思考の機械化」アプローチ
1950年代に入りコンピュータが使えるようになると、「数を操作できる機械は記号も操作できるはず」との考えから、コンピュータを使った思考機械の研究が始まります。そして1960年代に入り、記号処理のためのルールや数式をプログラム化し、思考や推論などの人間が行う論理的な「知的活動」と同様のことを行わせようという研究も広がりを見せました。
しかし、当時のコンピュータの能力の低さと、記号処理のルールを全て人間が記述しなければならないことから、限界が見え始めました。その結果、実用に使える成果を上げることができないまま1970年代に入り、人工知能研究は冬の時代を迎えることになります。
1980年代に入り、「エキスパートシステム」が登場します。これは、特定分野に絞り、その専門家の知識やノウハウをルール化し、コンピュータに処理させようというものでした。例えば、計測結果から化合物の種類を特定する、複雑なコンピュータのハードウェアやソフトウェアの構成を過不足なく組み合わせるなど、特定の領域に限れば、実用で成果を上げられるようになったのです。
また、このルール処理を効率的に行う「推論コンピュータ」の研究も始まります。1981年、日本の通産省は「第五世代コンピュータプロジェクト」としてこの取り組みを支援しました。これに対抗するように、イギリスや米国でも同様のプロジェクトが始まります。
1984年、エキスパートシステムの延長線上で、人間の知識を全て記述しようというプロジェクトが米国でスタートします。例えば、「日本の首都は、東京だ」「インド建国の父は、ガンジーだ」「鯨は、哺乳類だ」といった知識をルールとして記述し、人間と同等の推論ができるシステムを構築することを目指したのです。
しかし、知識は常に増えていきます。また、そもそも人間の知っていることが多すぎること、それをどう表現するかということ、そして解釈や意味の多様性に対応することは容易なことではありません。そして、「知識やルールを入れれば賢くなるが、知識は全てを書ききれない」という限界に行き当たり、この取り組みも下火となっていったのです。
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